2011.5.27
第2回 森下くるみ編 PART1「1979年生まれ、同級生」
「NGなど存在しないわい。死ななきゃ何でもやる」(「すべては「裸になる」から始まって」より)
卒アル探訪企画第二弾のゲストにお迎えしたのは、男メーターの振り切れたこのセリフの主である我らが森下くるみさん。現在公開中の「劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ」でも、艶やかな気品とほのかな男気を絶妙にブレンドした心に迫る芝居を見せる美女の卒業アルバムはどんな事になっているのか! この女性は実在するッ!
<アニメ見て、ひたすら絵ばっか描いてました>
ー小さい頃からの話聞いて行きます?
劔:でもね、森下さん同じクラスにいたらたぶん、好きですねー。
ーアハハハハー!
森:どこにそんな要素があるんですか?
劔:何かこの柔らかな笑顔もいいじゃないですか。
森:その私の2コ左のKさんとか、結構美人でしたよ。
劔:今どうされてるんでしょうかね。
森:あ、それはちょっと何とも。
劔:このSさんとかは、最近コンビニで売ってる500円本の「見たら呪われる絵」みたいなのでこういう顔を見た事がありますね。
森:実物は結構つるっとしてかわいかったですよ(笑)。
劔:あ、ホントに? 写真じゃ量れない部分はありますからね。ちなみに当時(小学校の頃)好きだった男の子とかいたんですか?
森:えー…この辺結構(写真を指差して)、ンフフ、なんかこう、天然で好きでしたけどね。Y君っていう。
劔:何かこうグッって思ってしまうような人はそんなに記憶にないですか?
森:んー、ないですね。
劔:そうかー。じゃああんまりそういう初恋のような記憶というのは。
森:んー、あんまりはっきり憶えてないような…。初恋というか、そんな強烈なもんじゃないんじゃないですか。付き合いたいとか。
劔:でもね、強烈にある人っているんですよ。
ー劔さんはなかったんですか、小学生の頃。
劔:ないんですよ、それが。
ー小学校の時は何をするのが楽しかったんですか?
劔:棒を拾ったりとか…。
ーアハハハハ! でもゲームとかもあったでしょ、ファミコンとか。
劔:そう、でもボク、ゲームやらない子だったんですよね。世代なんですけどね。何してたかなぁ…。
ー棒拾ってたのはボクらよりだいぶ上の世代ですよ。あとは野球、サッカーとか…。
劔:あ、野球とかサッカーはやりましたね。くるみさんのアルバム見たら(クラブが)いろいろあるじゃないですか。ボクらはみんな少年野球で、女の子はみんな何か少女バスケって…言わないですよね。
ーミニバスですか?
劔:そうそう、それだけだった気がするんですよね。
ー森下さんは当時何もやってなかったんですか?
森:私はひたすら絵ばっか描いてましたね。アニメ見て、絵ばっか描いてました。
ーアニメはどういうのが好きだったんですか?
森:当時流行ってたのは、んと、「ふしぎの海のナディア」とか。
劔:そう! ガイナックスですよね、あれ。今思えば。や、「ナディア」はボクも好きだったですよ。ネモ船長ですよ。あれ「ナディア」ってその前に「アニメ三銃士」やってませんでした?
森:うんうん。
劔:「アニメ三銃士」も好きだったんですよねー。もうちょっと時間が経ってくると「赤銅鈴之助」とかですね。
ーそして、その後「ミュータントタートルズ」という。
劔:そう、「ミュータントタートルズ」(笑)。
ー絵は友達どうしで描いたりしてたんですか?
森:なんかそのイラスト部っていう課外活動が週に1時間あって、それは必ずみんな○○部みたいなのに入んなきゃいけなくて、ずっとイラスト部だったんですよ。そこで描くか、友達とノートに最初に一コマ描くんですよ。あと適当なシチュエーションの絵を描いて、友達に回してまたそこから一コマ描き足してみたいなリレー漫画もやってましたね。
劔:大喜利みたいですね、オチつけないと。
<轟! 強制通信英才教育!>
劔:小学校の頃の強烈な思い出って何かあります?
森:強烈な思い出は…何かね、強烈でもないんですけど文通とか。当時ってメールとか電子機器がまったくないんで。「りぼん」とか「なかよし」とか読んでましたけど、そういうのって必ず文通コーナーってあるじゃないですか。で、何の雑誌で知り合ったのか忘れたんですけど、私が小学校4年生とか5年生とかの時に、どっか地方の別の県の30ぐらいの男の人がいて。「BURRN!」ってあるじゃないですか。その人が「BURRN!」と自分の選曲したメタルがぎっしり詰まった80分とかのテープにを毎月必ず律儀に送って来てくれて。
劔:イラスト部の少女にそれを送りつけて来る訳でしょ。
森:「BURRN!」の最新号とテープを。
ー買って送ってくれる訳ですよね。
森:テープに入れてくれるのは「ハロウィン」とか「ホワイトスネイク」とか、割と王道なのを。 その詰めて来た曲にまた解説を付けてくれてるんですよ。
ーオリジナルのライナーが(笑)。
森:ライナーも付いてて。便せん10枚くらいの(笑)。
劔:びっしりと(笑)。それが30歳くらいの人でしょ。
森:20代じゃなかったと思うけどどうなんだろうなあ。たぶんね、結構年取ってましたよ。
劔:しかもそれが「りぼん」とか「なかよし」で。
森:や、ちょっと定かじゃないんですけど。「ファンロード」だったかもしれないし。
劔:それはそうかもしれないな、かなり昔ですから曖昧なところですよね。
ー今ならホームページとか作って自分の思いを書けばいいですけど、昔は聞いてくれる人もいないんですよ。
劔:だから小学生の少女に向けて熱い思いを。
森:結構ディープでしたね。
劔:ちなみにそれは人格形成に影響とかありました?
森:でも私も幸い、メタルとか興味がないから送られて来て捨てるとかじゃなくて、律儀に読んでたんですよ。「BURRN!」もくまなく。
ー曲も家で聴いてたんですね。
森:聴いてました! 「イングウェイ・マルムスティーン」とか。
劔:ということはアレですね、結構解説読んでも分かんない事多かったんじゃないかなって。
ーまず固有名詞は分かんないですよね。
森:ほとんどがバンドのうんちくだったりとか、曲が作られた経緯がうんたらとか。あんまり必要ないじゃないですか小学生に(笑)。
ー学校で話してもしようがないですしね。
劔:しかも女の子ですしね。これ、今、その人何してるんですかね?
森:何してるんだろう。
劔:だって20年くらい経つでしょ。
ーもしかして差出人はイトウさんって人じゃなかったですか?
劔:伊藤政則さん! もうその頃は一線で活躍されてたでしょうしね。
森:アハハハー。
ー第一線で活躍しつつそういう草の根運動もやってたんじゃないですか。
森:その手紙も、ライナーノーツ的なものもワープロで打ってあって。手書きとかじゃなくて。文字がギューッって。
ー当時ワープロ持ってるなんてカタギじゃないですね。
劔:やっぱり伊藤さん! Masa Itoの可能性がかなり(笑)。
ー1通でも残ってれば検証できるんですけどねー。
劔:さすがにお家の人もそれは取っておくもんでもないですしね。
森:そうですねー。
劔:娘の思い出の物だって取っておくもんじゃないですよ。いっぱい送られて来た「BURRN!」とか(笑)。
ー今でもそういう音楽を聴くきっかけになったのはその人の影響ってありますか?
森:あ、でも小学校のとき好きだったものはいまだに好きで。そうなると影響はなかったとは言えないですよね。強いかどうかは分かんないですけど、影響はありました。
劔:あと他に強烈な思い出というと…。
森:小学校の時かぁ…。あ、うちなんか借家に住んでて。ボロッボロの。家が6件ぐらい並んでるんですけどいちばん端っこの家に3兄弟が住んでて。3兄弟の上には年の離れた兄がいるわけですよ。まあ4兄弟なんですけど。その兄がスーパーとかに行くとレジを通してないものを勝手に食べたりだとかという、まあちょっと変わった家で。で、借家では犬を飼っちゃいけないんですけど、勝手にその家が犬小屋を自分ん家の隣に置いて、白い犬を飼ってたんですよ。「えー犬飼っていいんだ」と思いながら。でも「ダメだ」って大家に言われたらしくてある日突然、犬小屋が忽然と無くなってて。で「あの犬どうしたの?」って聞いたら「食べた」とか言ってて。
劔:これねー、田舎ならではの…。
森:3兄弟もちょっとおかしかったんで、ホントかどうか分かんないけど、あの犬どうしたのかなっていう思い出はあります。
劔:それはでも子供心に絶対グサリと刺さる記憶ですよね…。学校で噂になるような謎の近所の人とかいましたよね。
森:でも何か昔って、スゴいレベルの貧乏とかいなかったですか?
ーアハハハハー。
森:物置みたいな家に住んでる友達とかいた…。
劔:そういうのもボクはなんかあんまり記憶にないんですよねー。そう考えるとボクはあんまり社交的じゃなかったのかもしれないな。
ーヘンな友達とかいなかったんですか?
劔:なんか貧乏だとかでバカにされてる子とか、そういうのってあるじゃないですか。ボクはなんかそういう所にいっさい混じって行かなかったというか。ただ単に社交性がなかったのかな…。
ー友達がいなかった訳じゃないんですよね。
劔:そうですね、サッカーとかやってましたねー。あんまり記憶がないんですよね…。中学校くらいの記憶と曖昧になってて。
森:私は逆に中学校の記憶があんまりないです。
劔:それはあまりに楽しい事がなかったとか?
森:あまりに地味すぎて記憶にも残らないぐらい、地味な生活。
劔:淡々と過ぎて行ったという感じで。でも同世代なんで同じ時間を生きてるから文化とかは似通ってると思うんですけどね。
森:たぶん似てると思います。見てたものとかはいっしょだと思います。
<私なんかぜんぜん無視してもらって構わない>
森:駄菓子屋とか行かなかったですか?
劔:行きましたねー。
森:私、駄菓子屋にすごい執着があって。
ーへえー(笑)。
劔:その頃好きだった駄菓子って憶えてます?
森:なんだろう、今でも駄菓子屋ってありますけど、くじを引けないですよね。これぐらいの紙切れをピッって剥くと数字が書いてあって、数字が少ない方がいい景品みたいな。
劔:そういう記憶も全然ないんですよ。
森:マジすかー?
劔:ギャンブルがボクは全然興味がなくて…。
森:ギャンブルじゃないですよー。10円ですもん(笑)。
劔:でも当時のこどもにとってはギャンブルですよ。縁日とかで型抜きとかの記憶も全然ないですもん。やってる子はスゲーやってたんですけど、全然そういうのに興味なかったです。今もパチンコも競馬も何にもやらないという感じで。ただ人生がギャンブルみたいになっちゃったという…。
ー劔さんは小学生の時、何してたんですか?
劔:何してたんだろ、ぼんやりしてましたね。ただ勉強はしてたんですよね。
ー小学生は家で勉強なんかしないじゃないですか。宿題もしないですよ。
劔:あーそうですねー。
ー何が楽しかったとか憶えてますか?
劔:や、何が楽しかったんだろう…?
ー女子の着替えを覗いたりとかしなかったですか?
劔:や……しなかったですね。
ー体操服や制服を勝手に着たりとか。
劔:ん……しなかったですねー(笑)。
ー女の子にも興味なかったんですか?
劔:いやーなかったと言えばなかったですね。あ、思い出した! 一個思い出しましたよ。あれが流行ったんですよ。♪たてたてよこよこ、まるかいてちょんってあるじゃないですか。ジャンケンして、勝ったらほっぺたをこう掴んでいって、2回勝つと♪たてたてよこよこ、まるかいてちょんになる訳じゃないですか。あれを命がけでやってました!
ーンハハハハハー。
劔:スゴかったんですよ、それの流行りっぷりが。
ー学校を巻き込む一大ムーブメントが(笑)。
劔:♪たてたてよこよこ、まるかいてちょんじゃ済まないんですよ。♪たてたてたてたてーッ! って永遠にやり続けるんですよ。で、終わるかなーと思ったらまた♪たてたてたてたてーッ! って始まるんですよね。顔こんなになるまでやってましたよ。
ーそれは男同士ですか?
劔:男同士で。命がけの勝負なんで。「今日、放課後やるか?」みたいな感じになって。もう休み時間じゃ収まりきらないんですよ。当時流行ったんですよ、胸グーッと押して気絶させたりとか。そういうのが流行ってたからそれの一環だと思うんですけどね。で、ボクが今でも忘れられないのが、忘れ物をして教室に帰って来たら、陽の落ちた電気も点いてない教室の教壇のところで男二人が馬乗りになって♪たてたてたてたてーッ! ってやってるんですよ。やられてる方は半分気絶してるみたいな感じで。ここまでやるかと。これは恐ろしいなと思った記憶がありますね。
ーそれはでも田舎だからって問題じゃないですよね。
森:新潟だからじゃないですか(笑)。
劔:新潟だからかなー(笑)。でもホントにあれに命をかけてましたね…。あとね、あれ、揚げパンに命をかけてましたね。だから揚げパンの日は教室中の殺気が違うんですよ。みんな口数少なくて。ホントに凄いヤツはここ(二の腕)に「揚げパン命」ってマジックで書いてるんですよ。
ーアハハハハー。意思表示を。
劔:そういう男たちが殺気立って給食をグッと待ってて。それで休んだ子がいるとか言う情報をキャッチすると色めき立つんですよ。でも揚げパンっていうのは恐ろしい事に意外と量を食べられないんですよ。何か気持ち悪くなるんです。
ー5つも6つもは食べられないですか(笑)。
劔:スゴい奴はいらないっていう子から貰って収集してるんですよ。でも食べきれないっていう。みんな片付けしてるのに一人だけ残っちゃって(笑)。
ー小学校の記憶が揚げパンと…
劔:あと♪たてたてよこよこっていう。
森:こんなにも違うもんなんですね(笑)。
ーまあ、バカですよね…。
森:私、揚げパンとか出たことないですよ。
劔:給食のバリエーションって時期や地域によって違うとは思うけど、ソフト麺ってありました?
森:ありました、ありました。
劔:あと1年に1回くらい出ていてテンション上がったのが「レモンシャーベット」っていうのと…。
ーアハハハハー!
森:そういうのはスゴい憶えてますよね。
劔:あと揚げパンもやっぱり…。月の献立みたいなのが月頭に出るでしょ。色めき立つんですよ「揚げパンがあるぞーッ!」って。
ー揚げパンの出現ペースっていうのは隔月くらいですか?
劔:や、年2回くらいのレアなアレ(ペース)だったと思いますよ。あと給食って言えば、汁物を必ずこぼしてしまう奴っていましたよね。
森:いました。
劔:あれはホントに犯罪者のような、A級戦犯になりますよね。一生懸命、他のクラスにかき集めに行くんですよね。
森:牛乳って瓶でした?
劔:瓶でした。あと牛乳に粉末が付く時があるんですよ。
森:ミルメイク?
劔:ミルメイク! あれも色めき立つアレ(アイテム)でしたね。持って帰ってましたね、集めて。うまいなーと思って。給食の思い出って何かあります?
森:牛乳の一気飲みして、目から出したりとか…(笑)。
劔:や、牛乳ファイトも確かにありましたねー。笑わせられるとヤバいから誰も見てないところでこっそり飲んじゃうんですよ。
ー劔さんは小学校の時はクラスの人気者だったんですか?
劔:や、人気者はもっと別にいましたね。サッカーうまい子とか。
ー先生のモノマネをする子とか、そういうタイプでもなかったんですか。
劔:高校になってから先生のモノマネをしだすようになって。
ーアハハハ、遅いですねー。デビューが。
劔:ただバリエーションはけっこうありましたけども。
ー客観的に小学校の頃の自分を見るとどういう感じの子ですか?
劔:あーでも勉強はできたんですよ。勉強できたから、クラスのみんなにしてみたら目立つ所にはいたと思うんですけど。ただまあ、モテる子って別にいるじゃないですか。それから友達とワーッとやってる子とか。
ーそんな運動ができた訳でもなく。
劔:んーまあ中ぐらいでしたね。小柄だったんですよ。前から3番目くらいだったんでずっと。ただやせてるし小さいし色黒いし。
ー特に秀でたものってなかったんですか? スゴい貧乏だとか、スゴいエロいとか。
劔:や、勉強はできたんですよ、正直いかんせん。あと、足が速かったです。長距離が。
ーあー、地味ですねー。
劔:だからマラソン大会の時だけ活躍するんですよ。マラソン大会の時も結構ドラマがあるんですけど、当時の自分にとってはドラマでしたけど、今思えばそうでもないので割愛します。
ー森下さんは当時のご自分を客観的にご覧になってどんな子だったですか?
森:当時の同級生とかに聞くと、まずたぶんおとなしかったって言いますね。私の事を。
ーそんな積極的にしゃべるような子ではなかったんですか。
森:自己主張するのがぜんぜんできなかったし、目立つところに出るとか滅相もないって。
ー引っ込み思案だったんですか。
森:引っ込み思案のもっとひどいバージョンでした。
ー人前でワーッとやりたいけどできないっていうのと、そういう事にはじめから興味がないってのがあるじゃないですか。
森:少っしも興味なかったですねー。
ーアハハハー。
森:ぜんっぜん私なんか無視してもらって構わないって思ってましたね。
ー中学の頃はあまりご記憶がないとおっしゃってましたけど。
森:特別何かあったとかないですねー。
ーアハハハー。
森:中学のときもやっぱりイラストとかアニメとか…それで結構3年間ムダに過ごしましたような感じですね。
劔:中学の時、印象的な事って何かなー?
ーおふたりの中学時代といえば90年代の初頭ですよね。
劔:92年から94年…。
ーバブルも弾けた後ぐらいですね。
劔:なんか、いじめっ子が先生に怒られたらスゴい勢いでイイ奴になった記憶がありますね。
ーアハハハー。ガラっと変わって。
劔:ホント先生に吊るし上げられたんですよ。みんなの前で。それからイイ奴になったんですよねー。
ーそういうのって表面的なものだけに終わりそうじゃないですか。
劔:や、たぶんイイ奴だったと思うんですよ、もともと。
ー池に落ちたジャイアンがキレイになって帰って来たみたいな。
劔:ジャイアンみたいな子だったんですよ、柔道部の。変われるんだなあってそれで学びましたね。最後までずーっとイイ奴でしたね。小学校の頃からいじめっ子だっていうので、鳴り物入りで入学して来たんですけど。
ーそういうキャラクターを背負ってたのがしんどくなったのかもですね。
劔:むちゃくちゃイイ奴になったんですよね。
ーイイ奴になった後のイイ奴エピソードって何かないですか?
劔:えー…、いや特に(笑)。
一同:アハハハハー!
劔:あと中学の時とかって他の中学と抗争があるんですよ。
ー橋の下で10vs10とかで。
劔:もうパッチギの世界ですよ。
森:ふーん。
劔:めちゃくちゃ正義感が強くて積極的に犠牲になって行ったりする男気のある奴がいましたけどね。
ー捨て石になって。
劔:俺が行くっ! みたいな感じの。
ー片袖の取れた学ランで帰って来る奴とかいましたね。相当やられたなお前、みたいな。
森:ンフフフフー。
劔:中学の記憶ってそんな感じかなぁ…。
森:音楽は何聴いてたんですか?
劔:音楽……、ボクね、その頃尾崎豊が好きだったんですよ。
森:あ、尾崎。好きそう。
ーもう亡くなった後じゃないですか?
劔:亡くなった後なんですよ。なぜそこに行ったのか、分かんないですけど。
ーラジオから流れて来たとか、そういうんですか。
劔:友達の影響だと思うんですけどね。
ー今思えば、どの曲が好きでした?
劔:何が好きだったのかなぁ…。
森:あまり好きじゃない?
ーアハハハー! 言ってはみたものの。
劔:その時はめちゃくちゃ好きだったんですよ。
ー歌ったりしてたんですか?
劔:歌う場所がないじゃないですか。カラオケとかも行った事ないし。
ー92年っていったらカラオケ普通にありましたよね。
劔:や、友達とか行ってたんですよ。でもボクはホントに卒業するくらいまで行きませんでした。何かもう怖くて。
ー聴くだけですか、家で。
劔:家で聴くだけ。怖くて行けなかったです、カラオケとか。
ー怖かったですか(笑)。
劔:そうですね、友達とかが行き出して。
ーどうやら怖いところじゃないらしいっていう情報が入り出して。
劔:んーカラオケとかボウリングとか怖かったですねー。ゲームセンターも怖かったなあ。何やってたんだろうなあ。
ーその当時、森下さんは何聴かれてたんですか?
森:まあ小学生の時はメタル、あと井上陽水好きでしたね。
ー井上陽水はどなたの影響ですか?
森:ラジオですね。テレビはちょっと見せてもらえなかったので。野球かNHKしかかかってなくて。ラジオを買って、アニメの声優か何かのラジオ番組を聴いたりしてたんですけど。あと、中森明菜とか。
劔:ボクらが小学校5、6年生の時って、たまとかが売れた時じゃないですか? 「さよなら人類」がヒットしたのがその頃なんですよ。その頃、大事MANブラザーズバンドもあったし。あと「愛は勝つ」もその頃で。
ーやまかつウインクも。
劔:やまかつウインクもまさにその頃で。あとチャゲ&飛鳥好きな人も多かったなー。小学校卒業の時に文集に載せるようなアンケートで好きな歌手を書くようなところがあって、他人のを見てたら女の子が「歌手というかアーティストですがチャゲ&飛鳥」って書いてあって。めちゃくちゃ憶えてますもん、それ。アーティストって何の事だろう? って(笑)。だからやっぱ女の子は進んでたんですよね。歌手じゃないよ、みたいな。
森:中学のとき流行ったのがビジュアル系で、ラルクとか黒夢とかイエモンとかそういう感じですね。ルナシーとかが出て来た時期。
劔:友達でも好きなのがいましたよ。
ーそういうビジュアル系はあまりご興味なかったんですか?
森:や、めちゃ好きでしたよ。ラルクが好きで。まあ今あまり聴かないですけど…。
ーアハハハー。
森:当時はみんなやっぱり結構女子は割と黒夢とか聴いてましたよ。
劔:そんな中、ボクは一生懸命尾崎豊聴いてましたよ。
ーちょっと遅いですもんね。
劔:そうなんですよ、後追いで。もう増える事のない曲たちを。
ー新曲出ないですからね。
劔:友達にビジュアル系を好きなのはいましたね。
森:シャ乱Qとか流行ってましたね。
劔:シャ乱Qもその頃だなあ。
森:中学くらいの時。
劔:ボクは音楽への目覚めは遅かったんですよね。高校生の時もそこまで興味なかったです。
ーでも今ははからずしもそんな仕事に就いてるじゃないですか。演奏もするし。
劔:何か…何があったんですかね。
ーアハハハハー。
劔:人間どうなるか分からない(笑)。
ー気が付いたらここに居たという。
劔:ぼんやりしてたらこうなったというね。
<ウェルカム・トゥー・ザ・グレイゾーン>
劔:で、高校は我々は95年入学の98年卒業。それがまあこれ(アルバムを出す)。
森:これ私の(アルバムを出す)。
劔:あー重いのにホントにありがとうございます。これ立派ですねースゴく。
森:立派ですよー。工業なんで。いいですよ全然、落っことしても。シミとか付けちゃっても。
劔:あー98年、ボク98年を忘れないですよ。
ー何があったんですか(笑)。
劔:いや、何となく…。まだ歌えますか、校歌。
森:校歌…あーもう忘れちゃいました。
ー劔さんは歌えますか?
劔:♪ひゃくりながーれーてーしなーのがわ、(新潟県の校歌は)絶対信濃川入っちゃうんですねー。
ー(森下さんのアルバムを見ながら)学校デカいですね。
森:そうなんです、実習室とかあってムダに。
劔:ラグビーコートもあって、フィールドトラックもありますもんね。これは創立結構古い感じですか?
森:ボロボロですね、結構ね。で、私の科が材料技術っていう、次のページかな。
ー材料技術って何をする科なんですか?
森:セラミックとか旋盤とか扱ったり。
劔:てか先生たちも理系っぽい人多いですねーやっぱり。
ー男女比はどれくらいなんですか?
森:8.5に1.5くらいですね。
劔:という事はアルバム開くと真っ黒な訳ですね。(アルバムを開いて)やー真っ黒ですね。これは男子校ですね。
森:機械科です。
劔:これいま正直、女子が見つけられないですけど。
ーゼロですね。
森:次のページもゼロです。
劔:やもめですね、かなり。やもめクラスです。
森:次くらいから徐々にぽつぽつと。
ー女性が少ないとチヤホヤされたりとかあるんですか?
森:最初だけです(キッパリ)。
ー校則は結構厳しいんですか?
森:や、先生たちはうるさいですけど、校則自体はそうでもなかったと思います。
劔:このクラスも女の子ひとりしかいないですね。いや、ふたりか。ふたりって結構過酷な環境ですね。
ーこれで1年ずっとやるんですか?
森:や、3年間これで。
劔:科だったらそうですよね。
ーこれはちょっと臭そうですよね。
劔:Hさんとかも明るそうで。
森:H…E子。同じ部活でした。
劔:それはバドミントン部?
森:バドミントン部でした。
ーあの人もいるんですか? あの誘ってくれた方も。あれ先輩(※1)でしたっけ。
森:や、同級生ですね。1個ダブってるんで、あの人は。
劔:アハハハハー。じゃあ卒業年はここだ。
ー劔さん、ここまでで好きな感じの人はいましたか?
劔:今んところ女性がホントに出て来ない…。あれ鈴木雅之さんって方がいらっしゃいますね。
ーあれ? そんな髪型でしたっけ。
森:ンフフフフー。
劔:サングラスないから分かんなかったんですかね。違う、そうじゃないって。
ーKさんも可愛いですよ。
森:Kさんも割と色気がありましたよ。
劔:まあでもボクはそういう人とは3年間口をきく事なく過ごすんでしょう。
ー女の子の方が大人っぽいですよね。
劔:そうなんですよねー。
森:次の科に私がいると思うんですけど。
劔:あ、ホントだ。くるみさんだ。
森:何でそんな拗ねた写真、選んじゃったんですかね。
ーシューゲイザーの顔ですね。
森:背景が私だけひとり…
劔:グレーが濃いですね(笑)。いるんですよこういう人。
森:何でだろう(笑)。
ー森下さん、元気ないですね…(笑)。
森:ないですねー。
ーでも抜群にグレー濃いですよ。
劔:なんでこうなるんだろう。あ、Kさんも濃いですねー。クラスで仲良かったのはこの中の誰ですか?
森:女子は…いないです(笑)。全部で5人いるんですけど、女子は分裂してましたね。3:1:1で。
劔:くるみさんの他に1だった人は…。
森:1はKさん。
劔:ロンリーウルフっていうか、孤独を好むタイプ。
ーだからちょっと背景が濃くなるのかもですね。
劔:それを配慮してくれた色合いですかね。でも顔立ちでみたら(くるみさんは)キレイになる顔ですよ。
森:いやいやいや、まったくそうは見えないですけど。
劔:だってこれが17とかでしょ。ボクくるみさんを初めて見たのって大学1年生の時の「デラべっぴん」か何か。
ーまだデビューして…。
劔:や、したてですよ! はっきり憶えてます、ホントに。当時結構イケイケだった女優さんが…。
森:98年、99年とかですね。
劔:結構ね、あれ誰だったけな、また忘れちゃったな。
森:ンハハハ。
劔:でもボク憶えてるんですよ、今でも。それだって(卒アルから)1年くらいしか経ってないわけですよね。
ーその当時の劔さん、どんなんでしたっけ。一方、新潟では…。
劔:一方新潟では、少年これですね。
森:むちゃくちゃ面影ありますよね。
劔:変わってないっちゃ変わってないんですよね。
ーちょうど同じ時期ですね。
劔:ホントまさに300kmとか北上するとくるみさんがこう…。
森:そうだー。
劔:ボク、ホントに大学行って一人暮らしはじめて…。「デラべっぴん」に出た記憶ないですよね?
森:うっすらあります。
劔:何かね、こたつに入ってるというか、家ん中の写真だった気がするんだよなー。
ー「デラべっぴん」買ったんですか?
劔:買いました! 一人暮らし始めたからとりあえず、コンビニで堂々と大人向けの雑誌を買わないとと思って。知ってる雑誌って「デラべっぴん」しかなかったんですよね。これを買っとけば間違いないだろうって。高校生の頃はエロ本とかは河原で拾うしかなくて、拾って見ては、家に焼却炉があったのでそこに投げ込んじゃうみたいなエロ本ライフだったんで。だから森下さんの事は強烈に憶えてるんですよ。
ー森下さんが載ってるって知ってて買ったんですか?
劔:いや、知らなかったのに今も憶えてますからねー。その頃ボクはまあこの10円ハゲみたいな顔じゃないですか。あっ(急に思い出して)、川島和津実さん!その時の「デラべっぴん」のヘッドライナーが川島和津実さんでしたね。今年のサマソニで言えばレッチリの枠が川島和津実さんで、ストロークスの枠にデビュー直後の森下くるみさんっていう。
ーその頃ですかー。
劔:でもそれはホントにご本人は性格も変わってない、仕事の中で作ってる表情とか表現してる事もあると思うんですけど、もうねー輝いてましたね。
ーアハハハハー。
森:川島和津実さんがデビューしてたって事は、私がデビューして1年くらいした頃かもしれない。
劔:でも憶えてるんですよ、川島和津実さんがヘッドライナーだったんですよ、その雑誌は。や、大学2年の時かな、それは。
<365日学生服の男>
劔:(アルバムを見ながら)これ、森下さんですよね。
森:あ、あたしだー(笑)。
ーこれは…?
森:修学旅行? なんか夜行電車とかに乗せられて行ったような気がする、京都に。
劔:ウイスキー樽が並んでるところに。
森:全然憶えてないですねー。
劔:工業高校だとそれにちなんだ場所とかにも行ったりするんですか?
森:何か工場見学みたいな建物を見学した記憶ありますね。奈良で。あとは京都になんとなく一泊して終わりみたいな。
劔:(ふたたびアルバムを見ながら)あ、僕と同じ所行ってるじゃないですか、これ服装の様子からすると10月くらい?
森:そうすね、秋?
劔:これはもしかして同じ頃に京都に…。
ーニアミスしてたかもしれないですね。
劔:修学旅行生だらけですからね、この時期って。
森:そうなんですよー。何か西本願寺とか行った気がする…。あ、いた! 私が。ンフフフ。
劔:これそうですよねー。やっぱりねー…。
ーあーこれ劔さん、好きそうですね。
劔:ボクは好きになっちゃうかもしれないですねー。
ーこれはまだぜんぜん化粧もしてないですよね。
森:いやーできなかったですね。
劔:でも他の人もそうですよね。
森:他の娘はなんとなく口紅くらいは塗ってたような。
ー劔さんは同じ学校に森下さんがいて、いいなと思っても声もかけられないですよね。
劔:…ん、まあそうですよね…。プリントまわすぐらいです。中高生の時とか女の子に積極的に触った記憶とかないんですよね。でボクは教室の後ろの方から「あいつとあいつとあいつは童貞じゃない。あいつとあいつも」っていうのを考えてました。
一同:アハハハー!(爆笑)
劔:なんか割と派手な友達も居たんですよ。活発な友達もいっぱい居たんです。ボクもまあ活発な方だったんですけど。そういう奴らは聞いてみると次々と(童貞を)捨てて行ってるんですよ。へーってなって。
ー劔さんは活発な女子グループとの思い出もあるじゃないですか。
劔:ボクはあれなんですよ、学校大好きだったんで。
ーアハハハハハー!
劔:学校大好きっていうか、他に行く所がなかったんで。休みの日も学生服を着て高校に行っちゃうようなアレだったんですよ。
森:へぇー(笑)。
ーキツイですねー(笑)。
劔:何となく高校に誰か居るかなって思って行っちゃうみたいな。居なかったらそれであきらめて帰るんですけど。で、ある日教室に寄ってみたら、実は学年で一番権力を持ってる感じのバスケ部とかの元気な女の子のグループが居て。この人たちに嫌われたら結構悲惨な今後が待ってるぞという雰囲気を漂わせている娘たちが居る現場にバタッと出くわしてしまって「しまった!」っと思ったんですよ。
ー普段は接点あまりないんですか?
劔:普段単独ではクラスに居るんで、向こうは何かいろいろ言って来ますよ。「つるちゃん、何やってんのー」「あ、予習です」みたいな感じで。で、これ出くわしちゃったなみたいになって。そしたらどうも彼女らは「同級生の男の子の財布がどれもダサかったなー」みたいな話でバカにして笑ってるような感じの状況だったんです。「マズいなー」って思ってたら、案の定「つるちゃん、どんな財布使ってんの?」って来て。「ヤベー」と思ったんですよ。なぜならボク、財布を使ってなくて。小銭は全部ポケットに入れてるような感じだったんで。「いや、あの財布持ってなくてポケットで」みたいな感じで言ったら、「それは男らしくてカッコいいねー」みたいな感じになって急に株が上昇しまして。「今んところ1位」みたいな感じになって。それがもう何か逆トラウマみたいになって、その後ずーっと財布使わなかったですね。
森:へぇー(笑)。
劔:16、7ですけど、財布を持たない事を褒められた事によって、それでしか生きて行けなくなったというか。そんな思い出ありましたね。くだらないですねー…。
森:財布持たない方がモテるんだっていう刷り込みが。
劔:刷り込みが思い込みになっちゃったんでしょうね。当時ブランキージェットシティーとかが好きだったんで。
ーえ、そうなんですか(笑)。
劔:財布にチェーンとかカッコいい訳ですよ。迷うんですよ、コレもカッコいいんだけどなーって。でもずっと(財布)ないのを貫いてましたね。それは大学行っても。
ーなかなか呪縛が解けなかったんですね。
劔:解けなかったですね。
森:カードとかそういう奴は?
劔:や、どうしてたっけな。
森:それも全部ポケットに突っ込む訳ですか? キャッシュカードとかも。
劔:高校の時ってカードとか持ってた記憶がないんですよね。そういうのは封筒に入れてたかな。
ーその不便さよりも、あの時教室で言われた言葉を胸に。
劔:それを信じて何年か生きてましたね。
(PART2へ続く)
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構成:中内龍(恋愛研究会。/パーフェクトミュージック)
【脚注】
※1 先輩:いち早く森下さんの美貌を見抜き、バトミントン部のマネージャーにスカウトする慧眼を持つクールガイ。部室の棚に大量のエロ本を積み上げる豪快な男らしさも合わせ持つ。詳細は森下さんの著書を各自チェック!