2011.11.14
第2回 森下くるみ編 PART2 「男はふた押しまでがんばれ!」
全国100万人の森下くるみファンのみなさま、たいへんお待たせ致しましたッ!
いよいよPART2にして最終回の更新です。気が付けばずいぶんな月日が流れてしまいました…。空白を補って余りある森下さんの珠玉のエピソードならびに劔のボンクラ話をご覧下さい。このふたりも実在するッ!
<端っこ主義とすみっこクラブ(※1)>
劔:本(すべては「裸になる」から始まって)でも読んだあの話が聞きたくて。バトミントン部のマネージャーをやるところの。
森:バトミントン部の写真もありますよ。
ーいつもこうキリっと写ってますよね。
森:キリっとしてます。
劔:でもマネージャーをやるには(バトミントン部は)花形とはズレたというか。まあ高校によって違うとは思うんですけど、やっぱりサッカーとか野球とかラグビーとか。バトミントン部のマネージャーって何人もいたんですか?
森:いや、ひとりふたりしかいなかったですね。別に必要ないというか、特に。
ー道具をかたづけたりとかそんな感じですか。
森:スコアつけたりとか。私、美術部にもいるんですよ。
ー基本的に(写真に写る)姿勢はいっしょですよね。
劔:ちなみにこの頃性格は…。
森:性格は引き続き…端っこでした。端っこ主義でした。
劔:あまり表に出ようとせず。でもマネージャーも自己主張が強くてマネージャーになる人いるじゃないですか。
森:サッカー部のマネージャーとか。
劔:そういうところのマネージャーをやるのが、派手なポジションである人たちとかいるじゃないですか。
ー試合に負けていっしょに泣いたりとか。
劔:ボクは当時、マネージャーっていったいあれ何なんだと思ってた方なんですよ。何でそんな事したがるんだろうって。(アルバムの最後の白紙ページを開いて)こういうページあるんですよね。みんなで書こうっていう。
森:まっさらですね。
一同:アハハハハ!
劔:まっさらですねー(笑)。
ーこれは潔いですねー。
森:一言もないですね(笑)。
劔:終わったらすぐ帰っちゃった感じでね。
森:あ、もう30秒くらいで帰りました。何かあらためて見ると面白いですね、やっぱり。こういう事あったなーとか思い返しますね。
劔:何か今憶えてる事ってあります?
森:や、たいした事憶えてないですよ。
ーアルバムのああいう欄に寄せ書きをいっぱい貰った人もいると思うんですけど、そういう人ってこの高校時代が…
劔:ピーク(笑)。
劔:聞きたい事いろいろあって、本の中にあったバトミントンのB君(※2)の話とか。
森:はいはい。
劔:ちなみにB君が誰なのかっていうのも。
森:写真だとショボショボですけどね。ちなみにえーっとね(B君を指差す)。
劔:K君!
ーシュッとしてますね。
劔:ほーっ。
森:今見るとブサイクですね(笑)。
劔:当時はどういう印象だったんですか?
森:当時はクールでしたね、やっぱり。スラッとしてた。
劔:まわりの子とぜんぜん群れないタイプというか。
森:群れてもひとりか、多くてもふたりとかでいるみたいな。基本ひとりでしたね。
劔:そういう所がよかったんですか?
森:ぜんぜん分かんないですけど、何か「ふーん」みたいな感じが好きでしたね。
劔:彼はバトミントン部だったんですよね。
森:バトミントン部。
劔:いいっすねー。
森:何がいいんですか?
劔:そんな動機で女の子がいてくれるっていいじゃないですか。同じクラブにね。ちなみに当時のくるみさんに果敢にアタックして来た奴とかいないんですか?
森:えーっとね、野球部とかに結構好かれましたね。
ーやっぱ好かれますよね。
劔:や、好かれますよ! どう考えても!
森:ほぼ男子校なんでね、最初は女子がもの珍しいんです。
ーこれやっぱ、ひときわ(背景の)グレー濃いですよね(笑)。
森:濃ゆいですよね。ホント何なんだろう。やだなあ。
劔:でもミステリアスな印象もありますよね。
森:や、ポヤッポヤッですよ。あ、そうだ同じクラスのI君、ラグビー部員だったんですけど、この人とか結構好きでした、硬派で。
劔:好きっていうのはどういう気持ちのアレなんですか?
森:え、カッコいい。
劔:それは誰に意思表明する訳でもなく。
森:ないです、ないです。家に帰って黙々と日記したためて。
劔:アハハハハー。
ーそれが残ってたりとかするんですか。
森:残ってますねー。
ーそれのリリースの予定はないんですか?
森:ないです、ないです(笑)。完全に自己満足の世界。
劔:でも記録に残ってるのはいいですね。
ー何考えてたかとか思い出せないですからね、当時は。
劔:たぶんまだ棒拾ってたと思いますよ。
ー高校生くらいの頃から変わらないと思うんですよね。
劔:内履きで帰ってたと思うしなあ。他にもまだくるみさんを好きだって言って来た人もいるでしょ。
森:入学したての時にネズミみたいな顔の人に…。
劔:アハハハハー!
森:下駄箱に呼び出されたんですけど…。
劔:呼び出されて何て言われたんですか?
森:「付き合って下さいッ!」って言われて。ウフフフ。
劔:その時の心境としては何か、その人がどうっていうのもあったのかもしれないけど…。
ー揚げパンの匂いがして来ましたよ。(この日の取材場所はくるみさんおすすめの中華料理屋)
劔:そうですねー、揚げパン命ですね。
ー高校の時はだいたい学校と家の往復の感じですか?
森:あ、私マックでバイトしてたんですよ。高1の時ボーリング場で、高2の時はクレープ屋で、高3の時がマック。
ー外の世界の大人と触れ合う機会はバリバリあるんですね。
森:けっこうありましたね。バイト先でいじめられてたし(笑)。
一同:アハハハハ!
ーそれはどのバイトですか?
森:ボーリング場でした。
ーどんないじめがあるんですか?
森:ふたつ上の先輩が同じバイトしてて、何だろう、いつも辛く当たられてた(笑)。
ー何々やっときなさいよ! みたいな。
森:とか、何かやっても「そうじゃないんだよ!」とか。あとロッカーで会っても無視とか。
劔:じゃ結構バイトでもつらかった感じですか?
森:あ、全然。そん時は何も気にならなくて。
劔:後で思えば…。
森:後で思えば、そういえばいじめられてたのかなあって。
劔:でも女性でしょ?
森:女の人っス。
ーやり返したりは特にしなかったんですか?
森:やり返したりとかはないですね。私も無視してました。
ーアハハハハー。
劔:ま、別にそれならそれでいいし。
森:高校の時は結構性格悪かったな…(笑)。あ、この人だ、フフ(アルバムを指差して)。
ーこれがネズミですか?
森:ネズミじゃないです。この人に結構しつこくされてた。
ーアハハハハー。
劔:いますよね。「ダメだ」って言ってるのに20回くらいアタックして来る奴。ボクの友だちにもいましたよ、ムラキって奴が。
森:ウフフフフ。
劔:ふられてもふられても行くんですよ。イタリア人なのかな、こいつはっていうぐらい。情熱的過ぎるだろうと思って。
ーチャンスで凡退したくらいの気持ちでいるんでしょうね。次ヒット打てばいいかぐらいの。
劔:それを同じ人で思ってるっていうね。
ーまだまだ試合は始まったばっかりだくらいの。
劔:もう完全にゲームセットしてるのに。でもそれでうまく行く奴もいますからね。根負けじゃないですけど。そういう人は「すごいな」って思ってましたね。
ーそんなガッツないですよね。
劔:ガッツないなあ…。
劔:下駄箱の彼はなかなか出て来ないですか?
森:顔をあんまり憶えてないんですよね。ぜんぜんそれらしき人が見つからないや。
劔:ぜんぜん喋った事ない人もいっぱいいるでしょ。
森:え、ほとんど喋った事ないですよ。
劔:そうですよね。ボクもそうだった。こんな奴いたんだなあってのがいっぱい居ますからね。アルバム見ると。
森:ですよね。名前も憶えてないし。うっすら、この人たちとは仲良かったような気がするっていうのはありますけどね。
劔:女優さんになってから、当時の同級生から連絡はあったりとか。
森:あります、あります。同じクラスの人とか。(アルバムを見ながら)えっとね、T君とかM君とかは連絡取りました。
劔:「何かで見たよ!」みたいな感じの。
森:や、もう10年ぶりくらいに会って、(女優になってるのを)当然知ってるよ、みたいな。「俺たち、●●(森下さんの本名)ちゃんのファンだからね」とか言われて。
劔:いい話だなあ~。
<激撮! スキー合宿の夜>
ー高校時代って楽しかった事ってどういうような事でした?
森:楽しかった事……。好きな人に話しかけられず、悶々としてる時が楽しかったですね。
ー話しかけたくてもできないという。
劔:好きだなあっていう感覚はあったんですか?
森:好きというか、話しかけたりとか付き合うとかぜんぜんなくていいんです。面倒くさいので。
ー毎日電話したりとかいうのは。
森:面倒くさいですね(笑)。好きな人呼べるような家じゃないし。
劔:それよりは遠目に見てる…。
森:遠目に見てるのが一番ラクでした。たまに部室に忍び込んで体操着を盗んでみたり。
劔:アハハハハー!
森:テストの点数を勝手に見たりとか。
劔:しじみちゃん(※3)と一緒ですね、その楽しみ方。遠くから見て、隠し撮りとかするのが楽しかったって。
ー使い捨てカメラで24枚隠し撮りして、1枚でもターゲットが写ってればそれは成功だという。
劔:それを友だちとやって「わー写ってる!」っていう。
森:へぇー。
ーボクらも今30いくつになって見て、当時の森下さんのよさが分かるんですけど、リアルタイムだったらボクは分かんなかったかもです。大人しい子じゃないですか。
森:うんうん。
劔:しかもこっちは童貞で、派手な女の子とはいっさい関われない状態ですから。だから派手な女の子の事を「あいつはヤリマンだ」とかいう話にしてましたからね。ボク、野球部と仲良くて。その野球部がことごとく童貞だったんですよ。
ー野球で忙しいですからね(笑)。
劔:その辺としゃべってるとホントにバカでよかったんですけど(笑)。それこそ好きだった男の子に体操着を盗まれたり、笛を舐められたりとかそういう経験はないですか?
森:高校の時ですか? 好きな人に?
劔:男の子に好かれて、実は何かされてたというのが後で発覚したとか。
森:あーはいはい(笑)。物理の時間に、授業始まったんでノート開いたんですね。そしたらノートの見開き全部に「●●さん●●さん●●さん●●さん(森下さん本名)」って書かれてて。
ーそれはたいへんですよ。
森:それは怖かったですね。
劔:それは怖いですねー。
ー犯人は分かったんですか?
森:分かんないですね。
劔:あ、そうなんだ。
森:劔さんじゃないの(笑)?
劔:え、ボクが? ボクみたいな奴がやってるんですよ。
森:ウフフフフ。
ー劔さんの言ってた野球部の彼らが、さっき可愛いと話題になったあの子に事件を起こすんですよ。
劔:事件を起こすんですよ…。
森:何するんですか…?
ー事件のヒロインは(劔卒アルを指差しながら)このSさん。
劔:Aちゃん。
ー今見ても美人ですね。
森:うんうん。
劔:(劔卒アルを見ながら)こういう所にもいるんですけど、やっぱり輝きが…。しかも、おっぱいデカかったんですよね。
森:へーこれじゃ分からないですね。
劔:それで、ちょっと派手な娘、派手な娘っていうか、ボクしゃべった事ないんで分からないんですけど、何か当時高校3年生くらいの頃ってポケベルからPHSに移行する時期じゃなかったですか。ボクは持ってなかったんですよ。ポケベルも使ってなかったし。
森:ピッチとか言ってましたね。
劔:そうピッチが出て来た頃。
ー劔さんはそういうの一切関係ないところで暮らしてたんですね。
劔:ボクはもう全く。
ー連絡は家の電話で事足りるっていう。
劔:で、Aちゃんはピッチを導入するのが早かったんですよ。ボクらは校舎の3階から見てるんです、校門の所を。
ー通る奴に向かって上からつばをベーッと垂らしながら。
劔:まあそんなんですよ。見てるとAちゃんが電話しながら入って来て。「進んでるなあー」とか思って。街で見かけたりすると、どっかの大学生みたいなのと一緒に歩いてたりするから、野球部の奴らと「これは絶対ヤリマンだな」とかいう話になって。全員誰もしゃべった事ないんですけどね。
ーアハハハハハー。
劔:勝手にヤリマン疑惑を。
ー一方的に(笑)。
劔:まあ実際どうかは知らないですけど。でもヴァージンでは絶対なかっただろうなあ、もうその頃は。
ー断片的な状況証拠によれば。
劔:そうそう。
ー男と歩いてる×ピッチで電話してる=ヤリマン確定!
劔:そうなんですよ。それでボクは3年の時に初めて聞いたんですけど、野球部の奴らの間では1年の頃から「Aちゃん可愛いなあ」ってなってて。で、スキー合宿があったんですよ。その時に、夜中に野球部の奴らで「寝てるAちゃんを写真に撮らないか」って話になって。
森:うんうん。
劔:で、カメダ君ってのがジャンケンに負けて行くんですよ。で、これですよ(劔卒アルを指差しながら)!
森:おでこの割合がおかしいですね(笑)。
劔:ものスゴく細かい天然パーマで。
ー黒人みたいな。
劔:そうそうそうそう! 細かいチリチリで。
ー動きは速いんですか?
劔:まあ野球部ですからね。
ー身体能力は高いと。
劔:そのカメダくんがAちゃんの部屋に写真を撮りに行ったら、寝苦しかったのかしれないけどAちゃんがジャージを脱ぎ捨てて、下着姿で寝てて。
森:へぇー。
劔:(カメダくんは)びっくりしたけど、そこで引き返す訳にもいかなくて「パシャッ」と撮って。そしたら部屋の奥の女の子が「誰っ!?」で起きたらしいんですけど。
ーフラッシュが光っちゃったんですね。
劔:そうそう。「誰っ?! 何っ?!」って飛び起きたらしいんですけど、それを見つかる前にピシャーッと戸を閉めて。物凄い勢いで逃げて帰って。で、後で現像してみたらブラジャーのところから乳輪が(はみ出て)写ってしまってて。
森:えーっ!
ーポロリ写真じゃないですか。
劔:大問題ですよ! 彼らの中では。で、「これは俺らだけの秘密にしよう」ってなったらしくて。(撮影)当時ボクは彼らと友だちじゃなかったから、3年なった時にその話を聞かされて「実はこれなんさね」って写真を見せられて。「いやーこれ写ってるなあ」なんて。
ーアハハハハハー。
劔:「これまだ俺たち卒業してないから時効じゃないよ」って。今だからこそ言える話なんですけど。でもまあ知らずにAちゃんは最後まで(学校)行ったんだろうなあ。
ーいまだに知らないですよ(笑)。
森:同窓会とかないんですか?
劔:一回も行った事ない(キッパリ)。呼ばれた事もない。
森:やってる事はやってるんですか?
劔:や、やってる人いるのかなあ。
ー写真に写ってた乳輪が思ってたより赤かったんじゃなかったでしたっけ。
劔:たぶん暖房がキツくて、物凄い火照った感じで。Aちゃん自体が。あれはね、ボクも脳裏に焼き付いてますよ。
ーそれは門外不出なんですよね。
劔:門外不出ですよ。ボクも貰ったりはしなかったです。
ー閲覧のみ(笑)。
劔:貸出禁止です。ただカメちゃんは相当これにお世話になったって言ってましたけどね。
ー閲覧のみで(笑)。
劔:「これで何回抜いたか分からないさあー」って言ってました。
ーその写真はどうなったんですかね。
劔:どうなったんですかねー。
ーその代が卒業する時に処分したのか。
劔:彼らの家を探したら何処かにあるんじゃないですかね。だから「●●さん●●さん(森下さん本名)」って書いてあるのは氷山の一角かもしれないですよ。
森:そうですよね。
劔:男の子があれだけいて「森下さん可愛いなあ」っていう隠れファンはきっといたと思うんですよ。で、そいつらがハイエナのように隙を狙ってたと思うんですよね。しかも直接は話しかけたりできないタイプの男たちもいたはずだと思うんだよなあ。
森:あ、でも高2の時に同じ美術部の先輩がいて、先輩は美術部とレスリング部を掛け持ちしてるようなムチムチしたタイプで、全然好みじゃなかったんですけど。ある日突然「今日話があるから美術室に来てくれ」って言われて「部活の事かな?」と思って行ったら、いきなり「好きだッ!」って言われて。その瞬間、気持ち悪くなって。
劔:アハハハハ! 嫌悪感の強烈なやつですかね。
森:ていう思い出もあります。
劔:その人はどんな顔してたんですか?
森:何かムチムチして(笑)、何だろうレスリング部で。背はそんなに高くなくて、レスリング部で(笑)。
劔:男はね、ホント意を決して来てるはずなんですけどね。でもその「気持ち悪ッ」って感覚ひとつで、すべては打ち砕かれてしまいますからね。いやー傍から見てたら「ざまあみろ」って感じですけどね。
ーだってホントに気持ち悪かったんですよね?
森:気持ち悪かった! 何でしょうね、こっちは先輩としか見てないのに、それがいきなりこう男女の雰囲気になって急に踏み込んで来られた時に、まだ高校のときは潔癖性だったので「こっち来るなー汚らわしい」みたいになっちゃって。ケダモノめ、みたいな(笑)。
劔:もしそれが気になってる男の子だったらどうでした?
森:それでもやっぱり躊躇したかもしれないです。え、これからどうなるの、この関係?近くない?みたいな。
劔:あ、でもそれはボクも一緒だなー。だから気持ちがあって「告白とかしてみようかな」という気持ちにもなったりするけど、うまくいったところでどうすればいいか分かんないから。
森:そうなんですよ! 好きな人いても、片想いの状態ですっごい距離が離れてるから、精神的にも。こっちは片想いでいいとか、見かけるだけでいいとか思ってるのに、急にその距離が縮まるとどうしたらいいか分かんないんですよ。あたふたして。で、ワーッとなって。
劔:それはもう未開の領域ですからね。でも、それは好きな子だったとしても結局おかしな感じになってしまったかも分かんないですね。
森:そうですねー。結局、付き合っても何にもできなかっただろうなって思います。
劔:くるみさんの本に初体験の話もあったじゃないですか。
森:うんうんうん。
劔:あれ先輩だったですよね?
森:同じ学校の人じゃないですけど、1コ上の先輩でした。
劔:あ、高校辞めちゃって自由な感じが…
森:そうそう。
劔:でその先輩に結構気を許したのは、その時のくるみさんの感覚からしたらどういう感じだったんですか?
森:や、高3になってバイトをクレープ屋からマックにした時に友達関係が変わって、ちょっと開放的になったんですよ。夜、飲みに行ったりとかしはじめて。その延長線上で。
劔:それ高3のいつ頃ですか?
森:春? 夏前くらい。
劔:じゃああれですね、この写真の時はビフォーアフターで言えば「アフター」なんですね。ちなみにこの写真のボクは完全に「ビフォー」です。
ーアハハハハハー! まだ新品ですか。
劔:そうです、完全なる。ちょっと可愛い女の子がいて、結構まわりのやつらも「あの娘けっこう可愛いな」とか言ってて。修学旅行の時に、何か知らないけど新幹線の中で、やっぱみんな開放的になって写真とかいっぱい撮るじゃないですか。その時何故かその女の子とふたりで写真撮れる感じになったんですよボク。向こうが写真でも撮ろうよーみたいな感じで。で、その娘のカメラで撮って、あとで現像した物をもらったんですけど、何て言うんですかね、拳をめちゃくちゃ握りしめてるんですよ。顔は笑顔なんですけど。
ーボディビルダーみたいな感じで(笑)。
劔:ものすごいギッチギチなんですよ。これスゲえなーと思って。
ーそれ3年生ですか?
劔:や、2年生の秋ですね。童貞です。
森:アハハハハー。
劔:いや、男たちはそんなもんですよ。その相手の1個上の人は割と慣れた感じと言うか。
森:遊び人でしたね。中退してるし。
ーその後、連絡が途絶えてから家まで見に行ったってお話もありましたよね。
森:家近かったんです。川を挟んで裏手で。歩いて5分かかんないところだったんで。
劔:あれいいエピソードでしたね。車がね。
森:実話ですからね。物陰に体育座りして(笑)。いつ帰って来るのかなって息を潜めてた。
劔:ボク、大学4年生の時に付き合ってた女の子にふられて、彼女と何とか話をしに行かないとって思って。その娘がセパタクローをやってる子で。
森:セパタクローって何でしたっけ? 懐かしい単語が出て来た(笑)。
劔:足で羽根蹴るやつですね。バレーみたいな。
森:ああー、はい(笑)。
劔:競技人口めちゃくちゃ少ないですよ。で、その娘がその日セパタクローある日だって分かってたから、セパタクローが終わるのを家の前で待ってたんですよ。物陰で体育座りで待ってるみたいな。そしたら彼女が自転車で帰って来て、物陰から出て行った時のびっくりされ方ったらなかったですね。
ーアハハハハハ!
劔:それで最後に「ストーカーにならないでね」って言われたんですよ。
森:そういう痛い思い出って結構あります? 高校の時って。
劔:高校どころか22になってからなんですけどね(笑)。ホント情けない話で。(くるみさんは)体育座りして見てて、結局会わずに帰って来たって感じですか?
森:会わないですね。車がブーッと来て、その好きな人と友だちかな、何人か車から降りて来て、彼らが家に入って行くのを見届けて帰ったという。
劔:いやぁこれ……#%&@*(以下、声にならない独り言)
ーあまり過去の恋愛とかで別れ話になって、すがるタイプではない感じですか?
森:全ッ然ないですねー。
ーすがられるほうでもないですか?
森:すがられもしないですねー。
劔:ふる方とふられる方だと?
森:あー、私、すっごい自然消滅が多かったんですよ。ぜんぶ自然消滅ですね。
ーさきほどもおっしゃってましたけど、連絡を密に取るのが面倒くさい部分とか今だにあったりするんですか?
森:それはもうさすがにないんですけど。高校の時とかはね。何かどう恋愛していいか分かんないとか。恋愛以前に、他人とどう関わっていいか、全く分からなかったので。
ー接し方がもはや分からない(笑)。
森:高校の時に同じ学校のOBというか、1個上の人と付き合ってたんですけど、やっぱ2ヶ月で別れたんですよね。
ー自然消滅もそうですけど、スタートもぼんやり始まるというか。
森:付き合うときは相手の方から言われたりとか。
劔:その人はどんな人だったんですか?
森:その人はパッと見すごいカッコいい人。
劔:性格は?
森:性格は…うーんと普通かなあ。何か特徴ない感じ。カッコいいという以外は。
劔:やっぱそういう人の方がいいんですかね? パッと目立つところがある人より奥ゆかしさというか。
森:そうですね。まあそのバドミントン部の人にしろ、初体験の人にしろ、次に付き合った人にしろ、何だろうな。並べると共通点ないんです。それぞれ何か私のツボに何かあるというか。基本的にクールな人が好きですね。ペラペラしゃべる人よりかは。
ーそれはずっと変わらないですか?
森:そうですね。あ、でも好みって5年10年周期くらいで多少変わりますよね。私、ずっと面食いだと思ってたんですよ、自分の事は。面食いというのは世間一般でいう面食いじゃなくて、自分の中の好みが確固としてあって。
劔:けっこう顔で選んじゃうというか。
森:なんですけど、最近なくなってきちゃいました。
劔:ボクは一時おっぱいに対する情熱が極端に高まった事がありまして、それも1、2年前の話なんですけど。
森:それは巨乳がいいって事ですか?
劔:自分は巨乳みたいな人と関わる事なく、一生を終えて行くような気がしたんですよ。そしたら急に興味がワッと出て来まして。「このまま知らないまま死んで行くのかな」と思って。
ー大きいおっぱいに触る事なく俺は死んで行くのかなって(笑)。
劔:そう思った瞬間に極端に興味がワッと出て。でもそのブームは去りましたね。ま、いまだに知らないままですけど。
ー行ってみたい外国の本読んでたらもう充分だったみたいな。
劔:行かなくてもまあいいやみたいな(笑)。何でこんなに興味が湧いたんだろうなと思ったら、たとえばピサの斜塔とかアンコールワットとか、すごい大自然、屋久島の杉とかそういう見た瞬間にワーッってなるような。世界ふしぎ発見の世界ですよ。そういう事を知らないっていうのは、どうなのかなって思って。(唐突に話が変わって)何か今となってはボク、出たがりみたいな感じのパブリックイメージが強いと思うんですけど、ここで言うと決してそんな事はなかったと。ちょっと酔ってるのか意味分かんないですがー。
<あっさりはちょっと。損してると思う>
劔:当時好きだった人についての思い出すエピソードってまだありますか?
森:えと、私がバドミントン部のマネージャーになったのって高2になった時なんですけど、高2が終わるまではまったく見向きもされなくて。私も好きだってアピールも何もせずにいたんで、しようがないんですけど。高3になったあたりで1回あきらめて、こりゃああたしなんかぜんぜん見向きもされないし、隣の女子高の誰それと仲がいいみたいな噂も立ってるし、もういいやってなったんですよ。それでマックにバイト先変えたりして交友関係も変わって、一瞬片想いしてた人の事を忘れてたんですけど、なんかいろいろ交遊関係変わると自分も変わってくるじゃないですか。髪型変えてみたりとか。髪の毛切ったら、急にその片想いの人が振り向いてきてたんですね。
ーアハハハハー。
劔:高校生ってそんなもんですよね(笑)。
森:髪の毛切って内巻きとかにして、スカートとかちょっと短くしたりとかしてたら、急に言い寄って来て「最近変わったよね」って言われて。「あ、そうだね」みたいな話してて。年上の彼氏と付き合って1ヶ月半くらい経った時かな、真冬の雪がしんしんと降る深夜、K君が家の前まで来て「今、付き合ってる人いるの?」とか言うんですよ。「あっ、これ今普通に告白されてんのか」と思って、でも嘘つけないから「いるよ」って言ったら、少し間があって「じゃいいや」って、スッと帰られて。あっけなく。私1年半くらい片想いしてたのに! 私に付き合ってる人がいるって知ったら、あっけなく去ってい行っちゃったんで、何なんだ! って思ったんですけど、まあいいか、付き合ってる人いるしなあって。ふたり同時に付き合ったとしても秋田って狭いからバレるもん、別にいいやって思ってたら、今度その1週間後に私が別れて。
ーハハハハハー! また急展開ですねー。
森:どうしろと(笑)。
ーこの間はああいったけど、事情があってとは言えないですよね。
森:言えなかったですね。
劔:やー人間のタイミングってそんなもんですよね。
森:誰ともそれ以来連絡取ってないです。
劔:でもそうなったら自分はふっちゃった形になるけどバドミントン部の人の事とかを考えたりとかしなかったですか?
森:あーでもそれもなかったかな…。何かしようがないかなぁって思いました、その時は。別れた後だったら、もちろん、別れた後だからいいですよって言ったけど。
劔:検討する余地がある訳ですよね。
森:何かでも向こうも引きがスゴい早かったんで(笑)。
ー「じゃいいや」って帰り方もよくないですよね。
森:「今付き合ってる人いるの?」って言われたんで、ちょっと躊躇して「それってのは今すぐ答えなきゃいけない事なのかな?」って聞いたら「今すぐ」って言うのでねえ。
劔:まあね、付き合ってくれるかどうかっていうのはね、ちょっと考えてもらう余地はあるのかもしれないけど、付き合ってる人いるかどうかってのはね、事実関係の把握ですから。まあすぐ答えられないというのも何かね、あれっていうのもあったのかもしれないですね。
ーちょっとその彼は傲慢な感じがしますね。よくないですね。
森:よかった、断って(笑)。
劔:ハハハハハー!
森:あんな、日記を3冊くらいしたためるほど好きだったのに。
ー長編ですねー(笑)。
森:何なんだよーって思って。
劔:それはちょっともう嫌悪感になるぐらい? 好きだった自分すら何だったんだってなってしまうような。
森:あ、でもそういうのはなかったですね。ただ何でこのタイミングだったのかってスゴい考えましたね。
ー1週間遅かったら状況変わってましたもんね。
森:まったく変わってましたね。
劔:変わってるし、髪の毛切るのがもうちょっと早かったらまた変わってますよね。その時のベストな答えって何なんでしょうね。そのボクが…。ボクがじゃなくてその、今何でボクがになったんですかね。今、完全にその男の気持ちになってますね(笑)。ちなみにもしこう来られたら、いろんな思い出も含めてクラッとなっちゃうかなってのはあります?
森:や、でもあんなに素早く帰る事ないよなって。そればかりですね。「あ、そ。わかった」ってサーッて。
劔:こっちにしても拍子抜けって言うか。でもそれはそれで男メーターだったのかもしれないですね、強がりがね。
ーどうしていいか分からないから、結果的に冷たい感じで早く帰っちゃったっていう。
劔:でも今ボクもその彼にスゴく自らを投影してるんですけど、そうやっちゃうかもなって。
ーただ男メーターってのはその場では分かんなくて、男メーターが振り切れて無神経に見える事があるんですよね。
劔:よくあるんですよねー。
森:うんうん。
劔:だから彼のせいいっぱいの強がりだったかも分からないですよ。
ーただ単に無神経な奴だったのかもしれませんけどね(笑)。
森:ンフフフフ。
劔:ボクその時何て言うかなー。
ーそこで17、18のくせに一芝居打つ奴も信用できないじゃないですか。
森:アハハハハー。
劔:ボクは今思ったんですけど、それ聞いたときはショックを受ける訳じゃないですか。
ー内心、ヒザもガクガクするような。
劔:でも、ちょっと「あ、そう」って言っちゃうかもなあ。
ー劔さんも素っ気なく帰って、自転車乗って、気が付いたらぜんぜん知らない街にいたりするかもですね。
劔:「●●さーんッ」(森下さん本名)って大声出しながら(笑)。その時の顔はもう何かこんなんですよ。何ともいえない悲しみを目にたたえたような。
ーある意味、アルカイックスマイル(※4)ですね。
劔:それで最後に言いますよ。「彼氏となかよくね」って。
ーそれで家に帰って「何であんなカッコつけちゃったんだろうなー」って。
劔:その時どうして「そんな奴やめて、俺にしろよ」とか。まあそんな奴がいてもヤなんですけどね。
ー万年床の抱き枕にしがみついて…
劔:「●●さんッ、●●さんッ」(森下さん本名)ってね。そうじゃないかな。男の子はそんなんだと思いますよ。
森:ありましたね、そんな事が。
劔:だってこの娘と初めてキスするとしたらどうしたらいいのかなあとかめちゃくちゃ考えましたけどね、高校生の男は。
ー練習してる奴いましたよ。パンツ脱がす練習とかもしてる奴いました。実験台も男なんですよね。
森:ンフフフフ。脱がし方って何かあるんですか?
ー脱がす方も脱がされる方も勝手がよく分からないんで、結果的にローリングしたりしてましたね。こっち廻して半分、あっち廻して半分脱がすみたいな。
森:アハハハー。介護みたいに。
劔:逆にソープの裏返すみたいなテクがあってもね。それボク最近、麻美ゆまさんのソープのビデオでちょっと見たんですけど。そういえばソープの好きな友だちがこれ言ってたなあって。横山くん(※5)ですけど。「何か知らないけど、クルってひっくり返されたんですよー」って。そんな話はいいんですけど(笑)。もしその時にその彼が「そんな奴やめて俺にしろよ!」みたいな感じで圧力をかけてくるような感じだったら、その17才のくるみさんはどう思ったんでしょうか?
森:あっさり乗り換えてましたね。
劔:え、ホントに。それはそっちにやっぱりグッと来ちゃう?
森:うーん。それは様子見ながらというか。すぐに付き合う付き合わないじゃなくて。
劔:だってその頃には、もう処女でもなくなって、男女交際にも免疫が付いてる頃でしょ。
森:や、私、免疫はいまだにないですけど(笑)。でもあんなにあっさり帰られなかったら、どうにかして向こうに変えてたと思いますよ。
劔:あっさりはよくないんですね…。
森:よくないよくない、全然よくないですよ。
劔:ちょっとぐらい食い下がって来いよって。
森:ふた押し、三押しくらいはするでしょっていうのはありますよね。
劔:ボクも大学の時にふられた時はあっさりだった気がするなあ…。「よし、じゃあ分かった。がんばれよ!」みたいな。それが男らしいと思ってたフシはありますね。
ーたしかに映画の中の健さんはスッと帰るんですよね。
劔:やっぱり高倉健さんとかを見本にしてるとそうなっちゃうんですよ。
森:ダメですね、高倉健なんか、女子は全然見本にしてないから。
劔:あー…。あれがいい男ではないんですね。
森:あれがいいっていうのは男子だけですよ。
劔:ウハハハハー、ゲホゲホゲホッ! いやーそれね、身に沁みましたよ。
ーあれは自己満足かも分からないですね。
森:バカだねーと思いますよ。高倉健なんて…。
劔:あれは男メーターの世界なんですよね。男メーターが作動すると女の子が望んでる方向とは真逆の方向に行ってしまうという。でもいまだにボクはそうなんですよね。結局、最終的な判断は男メーターによるジャッジになってしまうという。
森:うんうんうん。
劔:これは自分としては男らしいのかっていう。大学の時に後輩に言われたんですよ。「つるさんの考えてる事っていうのは男にしたらいいんですけど、女の子からは全然喜ばれないっすよ」ってはっきり言われた事ありますね。
森:まあそういう事ですよ。でも、しつこいのもあんまりよくないですよ。三押し、四押しになってくると女子はウザくなるから、ふた押しぐらいまではがんばって欲しいですよね。あっさりはちょっと。損してると思う。
劔:これはちょっと記録に残るものだから、ボクは言いますよ! 「男はふた押しまでがんばれ!」
森:とりあえずね。女子にヤだと言われると傷付くだろうけど、そこはグッとこらえて。
劔:そこを一歩踏み出して。二歩踏み出して無理ならあきらめよう!
森:それだったら帰っていいですよ。
ー男メーターがある奴はそういう事ができるようになった自分を許せなくもなるんですよね。
劔:そうなんですよね。俺も変わっちゃったなあ…なんて。
森:アハハハハハー。
ー俺もヤキが回っちゃったなあ…なんて訳の分からない事を。誰もあんたの事そんなに見てないよって話なんですけどね。
劔:自問自答しちゃうんですよね。こんな自分でいいのだろうか? なんて。昔の俺はもっとかっこよかったんじゃないかって。
劔:高校卒業する時、寄せ書きのコーナーは白紙でしたけど、後ろ髪引かれるとこは全然なく?
森:全然ないです。
劔:さらっと?
森:さらっと。早く高校なんか卒業したかったです。
劔:K君の事を思い出す訳でもなく。
森:ないですねー。
劔:K君はね、ボク言いますよ。後悔した方がいい!
森:いやいやいや(笑)。
劔:ボクが当時の彼の立場だったら本当に「俺はいったい何なんだ?」みたいに思って、結構落ち込むと思いますよ。タイムマシンで昔の自分を怒りに行きますよね。机の引き出しからガーッと出て。「お前、何やってんだ! これから●●ちゃん(森下さん本名)、髪型変わるんだから見とけッ!」ってね。
森:高校の時はその片思いが生きがいというか。一番楽しかったですね、何よりも。
劔:ボク、中学の時に好きだった女の子がいて、ボクの中学ってのは小学校3つが集まって1つになってたんですけど、全然関係ない新潟市内の結構にぎやかなところからポッと転校して来た女の子がいて。1年3組になってはじめてクラスに行った時に、その子が輝いてたんですよね。何か進んでて、小学校の頃から付き合ってた人がいたとか。1年生の時はちょっといいなと思ってたんですけど、2年生になったらムラキがアタックをし始めて。
森:よく憶えてますね。
劔:ムラキは高校も一緒だったんですよ。その女の子を好きだって奴が出だすと、自分がそれを主張できなくなるというか。そういうのってずっと変わらないですよね。
ー出遅れるとちょっとそういうのありますね。
劔:出遅れると戦いを挑めなくなるというか。そういう経験ってないですか。回りの女の子と同じ人が好きだったというような。
森:ありますあります。K君の時も、さっきのEちゃんって子が「好きかも」とか言い出して。
劔:でもあれでしょ、自分としては(K君への思いを)表明してないでしょ。
森:してないですね。男子にはバレてましたけど、バドミントン部の先輩とかには。
劔:何でバレたんですか?
森:私が結構その人しか見てなかったっていう。
劔:あー分かるんですね。じゃあその男の子たちもね、やっぱ●●ちゃん(森下さん本名)を気になってたんですよ。
森:アハハハハー。
劔:で、●●ちゃん(森下さん本名)を観察してるとKしか見てないなーっていう。そういうのはあるかもしれないですね。そういうのって身を掻きむしるような思いがある訳ですよね。●●ちゃん~って思ってたらKばかり見てる…みたいな。そうするとなっちゃうんですよ、冷やかす方に。ボクは予想してますよ、その男の子たちね、●●ちゃん(森下さん本名)好きでしたよ。
森:バドミントン部の先輩に告白されて、4日だけ付き合った事ありますね。
劔:それは高2の時?
森:私が高2で、向こうが1個上で、4日だけ付き合って。
劔:それが初めて付き合った男の子なんですか。
森:たぶんそうかもしれないですね。付き合った理由も特になくて、告白されたからっていう。「彼氏ができた」って言いたかっただけなんですね。
劔:そういうのって言ったら口約束じゃないですか。物凄いあいまいなもんだし、大事なんですよね。当時の若い子からしたら。要は表明できる事実が生まれると言うか。
森:K君に見向きもされないし、まあでも付き合うっていう関係性に対しては興味はあったので、どういう事になるのかなと思って。付き合ってみてもいいですよっていう事になったんですけど。
劔:それ何て言われて何て答えたんですか。
森:先輩に、「付き合って欲しいんだけど」みたいな感じで言われて、何か1日くらい考えて、確か。
劔:ちょっと考えさせてくれと。
森:そんな即答じゃなかったと思いますけど、先輩と付き合うってどういう心境なのかなとか、そういう好奇心がね。先輩には全く興味ないんですけど、ウフフフフ。
劔:その人自体にはね。
ーシチュエーションの興味が(笑)。
森:シチュエーションにすごい好奇心がかき立てられて、「付き合いましょう」ってなったんですけど、何か2日後に花火大会があって。一緒に行こうよって言われて行ったんですけど、何かこう、手をつなぐことにすごい抵抗感があって。でも、自我を捨てて、手をつなぐままにしてたんですけど(笑)。やっぱ結局うまくいかなくて。
劔:マグロ状態って奴ですね。
森:アハハハハ。付き合うとか言っても、二人きりじゃなくてみんながいるところで会ってました。
劔:その4日間のあいだに。
森:そう、花火はみんなで行ったんですけど。相手に興味がないと、全然楽しくも何ともなくて。そのうちに「あれ、私、K君の事を好きなんじゃなかったっけ」なんて。
一同:アハハハハー!
ーシチュエーションきっかけですからね。そりゃ面白い訳ないですよね。
森:そりゃもちろんそうですよね。私、何やってんだ…ってなって。ンフフフフ。
劔:まあそれが4日だったという事ですね。
森:4日目に「すみません、先輩、私やっぱり無理です」って。何故か先輩は私がK君の事を好きなのを知ってて、何か無言の間があったあと「もしかしてKに遠慮してんの」
みたいな事言われて。「や、遠慮も何もそういう事じゃないですけど」って。
ーまあでも4日目なんでクーリングオフ成立ですよね。
森:アハハハハー。
劔:まだ返品できますね。1週間経ってないから(笑)。でもやっぱりそれはバドミントン部の中に●●ちゃん(森下さん本名)を好きな男の子が結構いたんですよ。
森:んーまあ男社会ですからねー。
劔:もちろんそれもあるだろうけど、絶対そうですよ。ボク、バドミントン部にいたら絶対●●ちゃん(好き)ですよ。
ー強引な「もしも」のシチュエーションに持って来ましたね。
劔:他にどんな人がいたのかも分かんないのに(笑)。
ー「俺、いたら間違いなく一票入れてたよ」なんて。
森:こういう高校生いますよね、ンフフフ。
劔:そうなんですよ、いまだに変わらないですね。
ーシチュエーションにあこがれるのは何か分かりますねー。Berryz工房の曲(※6)にもありますしね。
劔:ボクはあったかなぁ…。妄想はめちゃくちゃしてたけど、そういうシチュエーションに出くわす事がなかったからなぁ。でもその先輩、あっさりとそれで「きっと●●はKが…」みたいな感じで。
森:あ、でもその後も結局私とK君は何にもなかったので。先輩はそんなに間を置かずに、女子高のバドミントン部の女の子と付き合ってました。
劔:やっぱそれがうまくできる人ってのはそういう事ですよね。俺は●●じゃなくても次があるって気持ちがあったのかなあ。まあ我々とかになったらって、我々の我が
誰か分かんないですけど(笑)。わたくしとかは後がない訳ですよ。「もうこの人しかない」みたいな感じになっちゃって。後がないからなぁ。死ぬしかない。
ー基本的に一点買いですからね。
劔:そうそう、一点買いです。
ーボックスとかでは買わないですもんね。
劔:保険を作る事とかも恥ずかしいと思ってる方だから。まあそんな宛もないですしね。でもそんな奴いっぱいいたんじゃないかな、ボクのまわりは。だからくるみさんは知らず知らずのうちにモテてたのかもしれないという仮説を立てられる訳ですよ。まあでも女の子少ないですからね。
森:近隣に女子高が2つくらいあったんで。割と早い段階で男子はそっちの方に流れて行きましたよ。
劔:ボクなんか知らない学校の人なんて異国の人ですから。エイリアンですよ。学校を越えて仲よくなれるなんて信じられなかったんですよね。
<あの頃にもし戻れるなら…>
劔:その頃って制服じゃないですか。
森:制服です。
劔:それもまたいいんですよね。バイト先とかで大人の人とかにちょっとモテたりとかはなかったんですか?
森:全然モテたとかじゃないんですけど、お客が男子とかだと冷やかしとかあるんですよね。
劔:あ、スマイル下さいとかそういうやつ。
森:スマイル下さいとか、茶化されたりとかは結構ありましたね。「セットのドリンク何にしますか?」って聞くと「何があるの?」って言われて「コーラ、オレンジジュース、あとミルクとカフェオレもありますよ」って言ったら「君のミルクをちょうだい」とか言われたりして。
劔:あー。
森:「は?」って言って。「いやいやいや、無理でしょ」みたいな。
劔:ウザいですねー。それはあれですよ。
森:セクハラまがいの。
ーそういうのを言うって事はどこかで1回ウケた事があるんですよ。
劔:あーなるほど。中学卒業した時の高校入るまでの春休みの期間ってヒマな訳ですよ。中学の友達も離ればなれになるからよく集まるんですけど、そこでモテない奴ばかりが集まってですね、女の子のウチへ電話しようって会になるんですよ。そんなイベントが毎日のようにあって。トランプとかで負けた奴が(電話を)かけるんですけど、ボクはその時ひどいイジメにあってて「トランプで劔以外が負けたら、その人が受話器を用意するんで劔がかける、話す」
森:アハハハハ。最初から負けが決まってて。
劔:「劔が負けたら、劔がかけて劔が話す」、どっちみち話すのはボクというルールがその頃あって。ボクもその時は「あなたのミルクを」ばりの嫌われるトークをやってましたね。あんまり記憶にないけど。「何してんの?」とか言って。
ーアハハハハー。
劔:向こうからは「何で電話かけて来てんの?」って思われながら。「いやいや~」って。周りに友達がいる事はバレないように。(周りは)ものスゴい笑ってるんですけどね。あれも辛かったなぁ。過酷でしたね。それを罰ゲームでもなくさらっといけちゃう人がいるってのはボクにしてみたら今でもスゴいなと思って。
森:うんうん。
劔:モテキでいう墨さんですよね。でもボク女の子のバイト先に行ったとか全くないなあ。そういう情報すら入って来てなかったんじゃないかな。そう思うと結構、さびしい青春時代なんじゃないかなぁ…。
ーそれ、2回目にして気が付いちゃいましたか。
森:気付いてなかったんですね(笑)。
ーもうちょっと先まで泳がせた方がいいと思ってたんですけどねー。
劔:アハハハハー。1回めが杉作さんだったから気が付かなかったのもあるかもですね。マクドナルドのその前のバイトが何でしたっけ?
森:サティっていうデパートの片隅にあるクレープとドリンクのお店。ソフトクリームとか売ってました。すっごい制服がダサくて、帽子から何からぜんぶピンクで、掃除婦みたいでしたね。
ー大屋政子が着るようなやつですよ。
森:アハハハー。
劔:その時は別に派手な話はなかったんですか。
森:なかったですねー。自分の殻から出られなくて、なかなか。
劔:そうか、そういうタイミングもありますもんね。その時のバイト先の同僚とかのノリもありますしね。
森:そのクレープ屋でやってた時に、その例のK君とその先輩が二人そろって遊びに来た事が一回だけあって。ジュースとかただであげたりとかしたんですけど、私の制服姿見て若干引いてて(笑)。
一同:アハハハハハー!
森:「その制服…」って言われて。ホント、恥ずかしかった。
劔:それはしょうがない、不可抗力ですからね。
ーアクシデントですからね。
劔:学校の制服と一緒じゃないですか。高校生とかはその中で自分の着こなしを生み出す事に必死になる訳じゃないですか。
ーカッコいいとか可愛いとか思ってた子が、私服で会って嫌いになる事ってありますよね。
森:ありますよね。中学校の時とか結構。
ー騎士みたいなズボンの奴とか。宝塚の衣装みたいな腰のあたりまであるような。
森:ンフフフフー。
ーこっちが気まずくて隠れちゃうんですよね。見なかった事にしようって。
劔:だからボクが休みの日も学生服だったのはそういう理由もあったんじゃないかなって。財布も持ってなくてカッコいいなぐらいの感じでいたい訳じゃないですか。
ー休みの日も学生服の奴っていましたけど、そういう考えだったんですかね。
劔:私服に自信がない…。
森:うんうんうん。地方の私服ってたかだか知れてるじゃないですか。そんなおしゃれじゃないというか、選択肢が少ないですし。ダイエーとかね(笑)。
劔:女の子はその中でも工夫もしますしね。我々なんて本当に目に映るものしか入って来ないんで。
森:チェックのシャツにチノパンとかじゃないんですか。
劔:そうそうそうそう。ホントそうですよ。模試とかある訳ですよ、高校の頃とか。そういう時は結構みんな頑張っていい格好してくるんですよ、私服をね。そこに学生服で乗り込むボクですよ。
ーアハハハハー。
劔:「お前、また学生服だな」っていう。ただ学生服にはこだわりがあって、ボクはめちゃくちゃちっちゃいやつを着てたんですよ。
ーでも標準ですよね。
劔:違反はボクの中ではカッコ悪かったですね。身長が急に伸びたりしたんで、自然とちんちくりんになって行ったという。親とかは「もっと大きいの着た方がいいんじゃないの」っていうけど、「いや、これがいいんだ」って。タイトな着こなしを心がけてました。
ーモッズっぽい感じの。
劔:思えば、モッズっぽい感じの。
ークラスの女の子が先輩との初デートでそれから2度と会わなくなったって話があって「なんで」って聞いたら「服がスゴかった」って言うんで、イラストに書いてもらったら袖切ったジージャンにハイウエストのズボンで「マッドマックス」の世界の人なんですよ。
劔:アハハハハー。それで嫌われるっていうのも本当に何かもう不本意って言うか。
ー「どこが嫌なの?」って聞いたら「いい人だけど、あの服は本当にムリ」って言ってましたね。
森:でも服装って若い時って結構敏感じゃなかったですか。自分もだし、相手の服装も。
劔:どう思われてるのかも気になるし。
森:気になりました。
劔:なんでこんなの着てるんだろう、この人みたいな。ウチの高校はさっきのアルバムでも見ての通り、女の子は私服だった訳ですよ。大変だったろうなって。
森:大変ですよねー。
劔:だから芸人さんのように、いつも同じ格好しかしないっていう。
ートレードマーク的な(笑)。
劔:そういうポリシーがあるような奴が当時居てほしかったですよね。「一番」って書いてるTシャツしか着てないみたいな。
ー高校時代に帰りたいって思いますか? 「いちばんよかったのはあの頃」とか言う人も居ますけど。
森:えー、考えられない。
劔:ボクも考えられないですね。
森:全然ないですねー。
ー戻りたい時期ってありますか?
森:戻りたい時期ですか? えー…戻りたい時期?
劔:今がいちばんいいって言ってるのが、健全っていうか。
森:私、高校の時にはいい思い出がなかったんで。別に楽しくなかったし、まああれはあれでよかったんですけど、戻って何かをやり直したいって思わないです…。
ー戻ってやり直しても、同じ事になるような気がするんですよね。
森:同じですよねー。ただ、もっとこうしたかったっていうのはスゴいありますよね。
劔:それはボクもありますよ。今、行って忠告したい!
森:全く真逆の事をしたかったですね。ホントにマジメにバイトばかりしてたんで、遊び倒して、男の家を泊まり歩いたりしたかったな。
劔:その頃しかできない事じゃないですか。
ー今思えばそうなんですよね。
劔:今やってたら、ただの変なおじさんですからね(笑)。マジメに働けよって話になりますからね。だからボクもそういうのをやり過ごしてるって言うか、経験なく来ちゃってるっていう。大学の時ってちゃらちゃらした奴に対する嫌悪感がスゴかったんですよ。あいつらホント、テニスサークルとかやって女の子と楽しそうにしやがってって。
森:でもそれはうらやましかったって事なんですよね。
劔:そう、そうなんですよ。
森:今思えば。
ーその中にちょっと入りたかったんですかね。
劔:入りたかったんですね(笑)。混ざってみたかったっていう。
森:むしろ、それ以上に遊びたかった…。
劔:結局、それをできなかった自分っていうのに対する僻みというか被害妄想が大きくなって、まあ30を過ぎたというか。
ーアハハハハハー。ルサンチマンが。
劔:そしてまた50くらいになった時に「なんで30の時にもうちょっと何かこうできなかったんだ」って。絶対思うはずなんですよ。
森:ンフフフ、そんな20年後とかに「あーっ」って思うのはイヤですね。
劔:でも実際もうちょっと年取った時に今の自分を振り返って、「まあこれだったらいいかな」って思えるかどうかですよね。
森:そうですね。でも、タガが外すのがいいわけじゃないなってのもあるんですよ。
劔:まあまあ。いまだにボクも思ってますよ、それは。「あの頃やっぱチャラチャラしてなくてよかったな」みたいな自分もいるんですよ。
森:そうですね。でも、せめて好きな人に「好きだよ」って言っておきたかったです、私は。
劔:うわーいい話だな~(しみじみと)。
森:それだけが心残りかもしれない。後悔じゃなくて。私、誰にも言った事がないから。
劔:K君にもね。
森:(K君)もだし、本人に直接言ったなんてこと一回もないなあ。
劔:で、男はね、自分に気があるのかなって思ってもね、ボンクラな男ほどそうなんですけど、そう思う自分が気持ち悪いんですよね。ちょっと自意識過剰な自分が情けなくなって来るんですよ。ボクなんかまさにそうですね。何か女の子にやさしくされた時にドキッとして「この子もしかして…」って思うと「や、ちょっと待て。俺はこれだぞ! そんな訳ないじゃないか」って。
ー「こんな俺を好きなはずがないッ!」ってTシャツの襟首をグィーッっと伸ばして。
劔:Tシャツをビロビロにして。
森:アハハハハハー。
劔:モテたいという気持ちはあるけど裏腹なんですよね。
森:うんうん。
劔:男ってのはそういうバカなもので。でもその時「好きだった」っていうのは、ボクK君に言ってあげたいですよ。K君、言われてたらどうしてたんだと。
ーまさに今、K君は焼酎とか飲んで寝てるんじゃないですか。
森:アハハハー。
劔:秋田でね。
ー「明日も早いし」みたいな感じで。
森:こどもも二人ぐらいいるかもしれないし。
劔:「●●ちゃん(森下さん本名)はこの後どうなると思ってんだッ、こんなに可愛くなるんだぞ」って言ってあげたいですよ、それはもう。
構成:中内龍(恋愛研究会。/パーフェクトミュージック)
【脚注】
※1:すみっこクラブ:劔が最初のバンド時代、リーダーに「お前も何か自分の表現をしろ」と命じられて、なぜか開設した日記サイト。当時はうだつがあがらなすぎて、現劔blogよりさらに切ない内容だったが、いつのまにか消滅。
※2:バトミントンのB君(=K君):高校時代、森下さんに思いを寄せてられていた何ともうらやましい男。あっさりと帰ってしまったために残念な思いをし、さらに今回劔にまで叱責を受けるハメに。
※3:しじみちゃん:かつては持田茜の名でNGのない唯一無二のAV女優として名を馳せる。「しじみ」への改名後は女優業のほか、DJイベント「ありがとう! おともだち!」などでも活躍中。ブログも必読! http://ameblo.jp/cizimikaikai/
※4:アルカイックスマイル:古代ギリシアのアルカイク美術の彫像や飛鳥時代の仏像に見られる微笑みのような表情。弥勒菩薩半跏思惟像や戸塚宏校長が有名。
※5:横山くん:恋愛研究会。セピアメンバーにてプレステージを愛する男。大阪芸大を卒業後、映像作家を志し東京に進出したものの、なぜか弁当宅配業の技術ばかりが向上してしまう事に。現在「ダリとコパンのお耳のラマン」というネットラジオでも活動中。URLは各自調査!
※6:Berryz工房の曲:「21時までのシンデレラ」の中の一節「付き合うという言葉になんか憧れてた/実際何をするのかいまだに分かんない」の事。余談だが、この頃のBerryz工房の曲には男メーターがあわせ持つ「もやもや感」を絶妙な甘酸っぱさで包んだ佳曲が多い。
撃鉄 2nd mini album「鉄」 now on sale!
そんな劔がマネージャーを務める「撃鉄」の2ndミニアルバム「鉄」がいよいよ発売! 中尾憲太郎プロデュースによる濡れてシビれてなおかつ男気あふれる撃鉄の世界をぜひともご体感下さい!
★撃鉄 official web:http://gekitetu.jp/