かせきさいだぁ
作詞家/ラッパー/ヒネモシスト/漫画家
誰にも頼まれずに執筆を続ける脱力系4コマ漫画「ハグトン」。
ハグトンの好物はカフェラテ(最近はソイラテ)だそう。

劔樹人のこんな風に過ぎて行くのなら

2012.10.22
第4回 高山都編 PART1

ウパー! ベースも弾ける原人こと劔樹人(けんじゅにん)が到底近づけないようなあこがれの人間様のアルバムをリリー・フランキーさんの名前を騙って図々しくも盗み見るこの企画もいよいよ4回目。原人ならではの野生のカンで今回ロックオンした美女は女優、ラジオパーソナリティーとして活躍中の高山都さん。凛とした佇まいからは想像もつかないHOTな地区出身の彼女。そのコク深い少女時代に迫ります。この女性も実在するッ!



<劔、アンプを買う>

高:劔さん、こういう所でお会いするのが初めてなんで、ちょっと緊張しますね。

劔:そうなんですよ! ライブハウスでしか(お会いした事ないので)。

高:あとこの間、アラバキのフェスでお会いしたりとか。

―あれ? アラバキ出演してましたっけ?

劔:私ですか? 出演しましたよ(笑)。

高:あら恋で。

劔:はい、さりげなく。1日目の方で。

―劔さん出演の時はご覧になられたんですか?

高:1日目は夜中まで居られなくて。友達と行ってたんですけど。

劔:ボクら早かったんですよ。昼間の(出演で)。

―1日目の夜中という事はわれらのJ太郎さんですね。

劔:夜中はJ&GO(杉作J太郎&吉田豪)やってましたね(笑)。

高:そうですそうです、杉作さんがやってたやつですよね。あれ? あら恋何時でしたっけ?

劔:あら恋は何時だっけなあ…。昼間に遠くはなれたテントで。

高:たぶん、何かとカブってて。私、その日もうホントに(the)Birthdayに照準を合わせて行ってたんで、それで見られなかったのかもしれないですけど。

劔:Birthday、やってましたよ。

ーそういえばこの間、10万円のアンプ(※1)を買ったんですよ。劔さんは。

高:えー! また次の(あら恋の)ライブぜひ。近々ありますか。

劔:下北のサーキットイベントに出るのと…。

高:あれ、インディーファンクラブですか。でも絶対あら恋とか入場規制かかりますよね。

劔:そんな事ないんじゃないですか。

高:どこでやるんですか?

劔:ぜんぜん分かんない(笑)。

ーや、アンプ買ったから入場規制ですよ。

高:そうですね(笑)。いいやつ買っちゃいましたからね。

ーお客さんも「あれがヤフオクで10万円のアンプか!」って。写真ないんですか?

劔:ありますけど見せてもしようがないですよ!

高:何でそのアンプは10万もするんですか? いいやつ、ヴィンテージ?

ー新品で買ったら40万ぐらいでしたっけ。

劔:そうですね。

高:へえー。

ーアンプの写真見せてあげて下さいよ!

高:見たい見たい。

ー事務所の前でタケオさん(※2)と撮った記念写真を。

高:でも10万もするから持ち運びとかちょっとドキドキしますね。

劔:それはぜんぜん大丈夫なんですけど、重いんですよ、とにかく。総重量100kgぐらいあって。

高:そんなにあるんですか! それって誰かと運ばないとムリって事ですよね。(写真を見て)うわっスゲー。これどうやって届いたんですか。

劔:これは出品者の人がハイエースで届けてくれたんですよ。この間クアトロで使ってみたら、アンプを移動した後にずーっと木屑が残ってて。ステージの上が木屑だらけに(笑)。

高:ボロボロ取れてくるんですか?

ー盗まれたとしても木屑をたどって行けばそこにアンプがあるという(笑)。



劔:ボクが見せてもらうだけじゃ不公平だという理由で、頼まれてもいないのに持って来てるんですよ(とアルバムを出す)。

高:見たーい! 見たかったんですよ、このコーナー見てて。(アルバムを見ながら)顔ぜんぜん変わってないですよね、劔さん。

劔:顔は変わってないですね…おおむね。

高:何組ですか?

劔:ボクは…4組? 5組? あ、これがあの…(自分の写真を指差しながら)

高:ここにメガネかけてちょっと…全く変わってなくないですか、これ(笑)。

劔:そうですか?

高:だいたい一緒! 髪型のニュアンスも変わってないですよね(笑)。

劔:そうなんですよね。

高:この角張った感じとかも。

劔:この間ひさびさにあれなんですよ。

ーあ、同窓会?

劔:同窓会ってほどじゃないんですけど、高校のときの初めて付き合った女の子に十何年ぶりかに会って。

高:どこであったんですか?

劔:それは新潟で。

高:同窓会的な?

劔:会えるって噂を聞いて、ちょっと行ったんですよ。

ーアハハハハー!

劔:(昨年の)フジロックの時にひさびさに友達にあったんですよ。友達って言うか、高校の同級生。Iさんっていう。この子は全然ただのクラスメイトなんですけど。(彼女と)会って、それで絶滅してた高校の時の人間関係が復活したんですよ。

高:へえー。

劔:そこからちょいちょい昔のラグビー部の友達とかに会えるようになって。というのもボクは一回、新潟から大阪に行ってるので。

高:そうなんですか。高校生の間に?

劔:高校卒業して、大学から大阪に行って。それで10年くらい大阪に住んでたから。

高:あ、そうなんだ。

劔:その間に人間関係のパイプがどんどん無くなって行って。大阪に行った時点でひとりでしたから。

ー当初は大阪に彼女とふたりで行こうとしてたんですけど、ちょっと引き裂かれまして(笑)。劔さんだけひとりで行くという事態に。

高:へえー。

劔:ま、そんな話はどうでもいいじゃないですか(笑)。で、久しぶりに(彼女と)会ったんですね。会ったら割と普通だったんで…いいなと思って。や、いいなとは思ってないですけど(笑)。

高:結婚してなかったんですか?

劔:してなかったんですね、これが。

高:これチャンスじゃ…。

劔:(さえぎるように)いやいや、そんな事ないです。ボクは別にいいんです。

高:そこからどうなったんですか。

劔:や、別に別に。カラオケに行きました。

高:ふたりで?

劔:いやいや、そんな訳ない! 何人かでね。

高:それから連絡とか取ってないんですか?

劔:まあ、特に。

高:取らないんですか?

劔:連絡先とかも別に…。

ーFacebook、この間見たら友達になってたじゃないですか。

劔:Facebookは…発見はしてたけど、今回会った事で堂々と友人申請を送れなかった分を(送りました)。

ー彼女が個人でやってるブログも盗み読みしてたし…

劔:twitterも発見してました(笑)。

高:怖い怖い(笑)。

劔:ただ、フォローとかせずにたまに検索してちょっと見るっていう。

高:アハハハハー。

劔:そういう事をしてたんですよ。

高:その彼女、久しぶりに会うと意外と…。美しいまま残ってるじゃないですか、思い出って。

劔:ぜんぜん変わってないといえば変わってなかったんですよね。

高:へえー。

劔:「あれ、つるちゃんって髪型も変わんないね」って言われて。まあそれはそれでスゲえなと自分でも思いましたけど。男なんてそんなもんじゃないですか。

ーその時ってあんまり話しなかったんですか?

劔:や、割としましたよ。

ーどの人でしたっけ(笑)。

劔:どの人って知ってるじゃないですか(笑)。

高:えー見たい見たい。

劔:この子なんですけど(アルバムのFさんを指差す)。

高:わ、可愛い! でも絶対今でも可愛いですよね。

ーボクらが大阪にいた頃に劔さんが「どうやら彼女が最近新潟ローカルの情報番組に出てるらしい」との情報をキャッチして。

高:タレントさんなんですか?

劔:情報誌の編集部で大学出てからずっと働いてて。それでローカルの情報番組に登場して。

ーコーナーみたいなのを持ってたんですよ。

高:それは地元ではちょっとした…

ー有名人ですよね。

高:そうですよね。

ーそれを劔さんは事情もあまり話さないまま、お父さんに頼んで録画したテープを送ってもらって。

高:アハハハハ。それ見てどうだったんですか。

劔:「あー変わってないな…」と思って。「元気でやってるんだな」って。

高:へえー、でも結婚してなくてよかったですよね。

劔:あと最近、Facebookで発見したのがこちらですね。

高:わ、かわいいー。

劔:この話、ぜんぶ書かれちゃうんでバレたら発掘したこのつながりが断たれるという(笑)。



<整形で自信持って輝けるならいいじゃないかって(「ブサイクな原始人」談)>

劔:高山さんが東京に来たのはいつ頃…?

高:私、11年前です。2001年。2002年?

劔:ボクは98年から大阪居たから、4年くらいは…

高:カブってるんですね、じゃあ。

劔:ボク、大阪市立大学だったんですよ。

高:頭いいんだ…。頭いいんだ(笑)。

劔:頭いいかどうかは…(笑)。市大の卒アルはないんですよ。何故かというと、入学時にシステムがよく分かんなくて注文し忘れたという。

高:卒業はしたんですか?

劔:卒業はしました。

高:スゴい! 市大卒なんですね。

劔:だから住吉区に住んでたんですよ。

高:私、住吉高校ですよ。

劔:そうでしょ。だからあの辺の事もよく知ってるんですよ。住吉高校ってどの辺…?

高:阿倍野区のチンチン電車で、すごい高級住宅街の北畠とかあっちの方です。

ーイイ所じゃないですか。

高:もの凄いイイ所。あの辺のお家とか凄すぎて、一生かかっても住めないような。

ー我々には縁のない所ですよ。

高:私も縁はなかったですね。

劔:帝塚山とか…。

高:そうです、あの辺です。

ーボク、実家が大正区なんですけどなかなかアツいですよ。

高:あ、私、生野ですよ、生野。もっとアツいです(笑)。

劔:ボクも最終的に西成に住んでましたけどね。(※3

ー明らかに野良犬ががっつり減るシーズンってないですか。

高:アハハハハー。怖い怖い。

劔:みんな、それを言うんですけどボクはそうは思わないんだけどな(笑)。

高:じゃあ生野の焼肉屋とか。

ー肉が食べられないんで店には入らないんですけど、あの辺りをうろうろするのは好きです。

高:おいしく食べてたのが(笑)。

ーその皿の肉を焼き始めた途端、外で野良犬が吠えまくるという(笑)。

劔:仁義なき戦いの広島死闘編の状況ですね。高山さんが持って来てくれたアルバムは…。

高:あ、これ(劔アルバム)見てていんですか。交換して見る感じで。

ーじゃあ順を追って行きましょうか。小学校もあるんですか。

高:小学校がなかったんですよ。

劔:そう、ボクもないんだよなあ。

高:アルバムはどっか行ってて。文集しかなかったです。

ーえ、文集はあるんですか。

高:文集はありました(笑)。ヒドすぎて絶対これはヤバい。



劔:98年に…

高:小学校卒業。

ーこれは住吉ですか。

高:田島です。生野区の田島。

ーこれはヤバいですね(笑)。

高:ンフフフフー。

ーパッチギっぽい人がいますね。

高:リアルパッチギな。

劔:あ、でもこれ(アルバムの最後のページの寄せ書き)があるというのは大丈夫です。

高:あ、ホントですか。

ー基本的に劔さんは真っ白。過去の女性ゲストの森下さんも真っ白です。

高:じゃつまんなかったかな、すみません(笑)。

劔:や、それが健全なんです。

高:あ、なるほど(笑)。でも結構普通なんですよね。私、このクラスです。

劔:うわ、でもほら違うんですよ。だいたい違うんですよ、もうホントに。

担当編集 田中さん:整形前ですか?

高:整形前(笑)。

劔:あ、そういう違うですか。 他の子と顔の作りが違うという意味で。や、キレイどころはこどもの頃からやっぱ違うんですよ。

ーさっきAKBの総選挙やってましたけど、●●さんだったら昔のアルバム出すのは厳しいと思うんですよ。

劔:出せないですねー(笑)。ボクはでも改造というか整形というか、肯定派なんですよ。ぜんぜんそれで自信持って輝けるならいいじゃないかって。

高:性格がまっすぐ前に向けばいいですよね。

担当編集 田中さん:やっぱ(整形している)本人目の前にするとね、ホメるしかないというか(笑)。

高:なんでなんでなんで(笑)。イジってないし。

劔:ただイジる事はボクはぜんぜんいいんですけど、まあそれで似通って来ちゃうとちょっとつまんないかなっていうのはあります。

ー出ました、●●●●批判ですね。

劔:似通ってますかね(笑)。でもいまだに●●●●●●●●●、やっぱ可愛いと思うんですけどね、みんな。(高山さんのアルバムを見ながら)でも面影もがっちりありますね。

高:これ中3なんですけど、ずっと中学生の時は髪が長かったんですよ。で、入学したての頃はおさげで。この時「家なき子」が大ブームで、担任の先生がもの凄い安達祐実さんのファンで。職員室の机の前にポスターが貼ってあるくらい好きで。

ー学校の先生で当時の安達祐実好きを標榜するのは結構リスキーですよね。

高:だから前髪をちょっと切っただけでも、先生がスゴい気付いて。(先生のモノマネで)「切ったんか、切ったんか」って(笑)。

劔:それはね、だいぶ問題のある先生じゃないですか(笑)。

高:宅麻伸(※4)さんに似てて、カッコいいのはカッコよかったんですけどね。

ー宅麻伸さんに似てるのがより一層何というか(笑)。

劔:予想できる感じが(笑)。

高:母親たちからは入学式のときにはカッコいいとか言われてる先生だったんですけど。入ってみたらもの凄い●●●●。

劔:アハハハー。ついに来ましたね。

ーやっぱりそうですか(笑)。

高:で、だからあの時はどれだけ成績よくなくても、だいたい(5段階評価の)4とか付いてましたよ。

劔:アハハハハー。問題がありますね、かなり。中学1年生の担任で安達祐実さんが好きって、だって当時(受け持ちの生徒と)一緒くらいの年齢じゃないですか。

高:一緒ぐらいです。ホントに「家なき子」のリュウと写ってるポスターが職員室の先生の机に貼ってて(笑)。職員室とか用事で行くじゃないですか。「うわーっ」とか思って。「これでか、私」みたいな感じで。

劔:それを生徒に押し付けてくるのはやっぱり(笑)。さすがにボクが教師でもやらないんじゃないかなあ。



劔:都ちゃん、他にここにいるぞっていうのは…。

高:ここにいるぞは…えっとこの辺、これ中3です。

劔:あ、ホントだ。

高:ウチはホント、地元がけっこう悪い町だったんですよ(笑)。

劔:でもそういう所で幼少期を過ごした方がタフになりますよね。

高:や、ホントにタフ、雑草魂です。たんぽぽじゃないけど踏まれても踏まれても(立ち上がる)。みんなそういう生命力もあるし。

ーこの間捕まった菊池直子が潜んでたようなトタンうちっぱなしの家とかも普通にありますしね。

高:ありますあります。台風とか竜巻とか来たら絶対壊れるやろっていう家ばっかりとか密集してる地域とかもあったし。

ーウチの近所も大雨の中、軒先でじいさんふたりが裸で将棋指してるのとか見た事ありましたよ。

高:アハハハハー。

ースリップ1枚で夜な夜なウロウロしてるおばさんとか。

劔:いますよねー(笑)。

高:地元にいるときはそれを違和感なく見てて、東京出てからたまに戻ってそういう人たちを見ると「うわっ!」って思って(笑)。パンチあるんですよね。

劔:パンチある所にいるってのはイイと思うんですよね。で、中学の時は何部ですか?

高:それが中学の時は部活入ってないんですよ。バスケ部に入ってて先輩がスゴい怖くてやめてしまったっていう。

劔:部活やってないといけないっていう感じでもなくて?

高:そんな感じじゃなくて、意外と帰宅部の方が学年の中心の子は多かったりとか。

ー中学時代は90何年でしたっけ?

劔:(アルバムの後ろのページを見ながら)この辺に何が起こったかを書いてあるページが…あれ、ないな。

高:あ、これない。安いやつだからないんだ(笑)。

劔:値段の問題(笑)。

高:や、分かんないけど安いやつだと思います。

劔:いくらか出したら付けてもらえるというか。

ーこれ廉価版なんですかね(笑)。

劔:先生がケチって。

高:97年だから、えーっと何ありましたっけ。

劔:ボクが高校3年生ですからね。

高:ちょうど3年違いって事ですよね。97年…まあでも小室ミュージック。

劔:そうですね。

高:TRFとか、あと篠原涼子さんとか聞いてました。今はバンドとか好きだけど、当時はぜんぜん小室さんとか大好きだったし。むしろ小室さんがスゴい好きだったんですよ。

劔:いやーまさかこんな事になるとは思わなかったですね。

高:そうですよね。

劔:まさか嫁さんの●●が●●するとは思わなかったでしょうね。

高:アハハハー。



<ずっとアイドルになりたかった>

劔:この頃はどういう事を日々思ってたんですか?

高:思ってた事……ずーっと私、小学校の頃からアイドルになりたかったんですよ。小学校の文集にもアイドル(になりたい)って書いてて。卒業文集にみんなが将来の夢とか友達のこととか書いてるのに、ひとりだけ「私は歌手になりたいです」って(笑)。

劔:前のめりにね(笑)。でも芸能人になる人ってどっちかですよね。ポッとなっちゃうか、小さい頃から思っていてなるか。

高:中3の頃、ASAYAN受けて。

劔:あーっ。

高:ASAYANは妹が受けたいって言って、一緒に行ったオーディションだったんですよ。

劔:この頃はモーニング娘。オーディションやってた頃だ。

高:そうそうそう。それが鈴木あみちゃんが出るときのオーディションで。

劔:ボーカリストオーディションですね。

高:そうだ、それだ。それに一緒に行ったんですよ。じゃあ何故か私が受かってしまい、妹は「気まずっ」みたい感じになって。で、ウチは父親がすっごい厳しくて。門限とかも学校が終わったらすぐ帰って来なさいみたいな。お父さんが帰ってくるときに絶対に家にいないと、お父さんが発狂するぐらい厳しい家だったんですよ。母親は昔役者やってたんで、小さい頃からお芝居を見に連れて行ってくれてたりとか、劇団に入れたりとかやってたんですけど、お父さんが反対してて。そんな中で勝手に受けたオーディションで受かっちゃって「ヤバい、受かってもうた」って。結局二次まで行ったんですけど。

劔:TV出ました?

高:出てないです、出る前です。

劔:ボクは(ASAYANを)毎週見てて。受験生だったんですけど、毎週見て集まるんですよ。野球部のやつらと。

ー「高校生のブルース」(※5)そのままじゃないですか(笑)。

劔:そうなんですよ。必ず放課後になると集まるんですよ。

ー野球部のやつらというのは寝てるところを隠し撮りしたら、たいへんな事になっちゃった彼ら(※6)ですね。

劔:そうそうそう。そういうやつらと集まるんですよ。で、勉強もせずにとにかくASAYANの話をするんです。なっちで抜いてたりするんですよ、そいつらは。

高:やっぱ、なっちだったんだ。

劔:「安倍なんさねー」とか言って、新潟弁で(笑)。ほんとにみんなで(ASAYAN)見てて。

高:みんな見てましたねー。

劔:新潟は深夜やってたんですよ。

ーえ、日曜9時じゃないんですか。

劔:火曜深夜です。で、ちょっと遅れてるんですよ。(番組で)オーディションの募集とかやると、だいたい終わってるんです。

ーアハハハー。

劔:テロップで「募集は終了しております」って。当時はインターネットとかもないんで、それを見て遅い情報を手に入れて。でね、ボクは平家みちよを応援してたんですよ。

ーいちばん最初のオーディションですね。

高:つんくさんじゃなくて、はたけさんがプロデュースするっていう。

劔:そう、「女性ロックボーカリストオーディション」。鈴木あみさんは次の…。

高:コムロギャルソンになってからですよね。変わったんですよね、途中から。

劔:だってその前のASAYANって、江頭さんが水中に潜ったりとか。テリー伊藤さんの頃ですよね。

ーヒッピーをヤッピーにとか。

劔:そういうのをやってたのが、オーディション中心になって。

高:すごい見てましたよ。

ーモーニング娘。も軌道に乗って「これに受かれば行くんじゃないか」という雰囲気も出て来て。

高:ちょっと「アイドルになれるかもしれない」って思ってましたね。

劔:二次まで行ったらもう気持ちがね、クると思うんですよ。(急に)でね、その高校の頃、ナイキのスニーカーが流行ったんですよ。

ーエアマックスですか?

劔:エアマックスもありましたけど、ボクが欲しかったのはフットスケープっていう横っちょにヒモがあるやつで。

高:分かった、こうなってるやつ、丸っこいやつだ。

劔:そう! 当時のナイキはスゴかったんですよ。新潟は手に入らなくて。

ーで、仕方なく類似品を(笑)。

劔:や、人気商品は入荷日の告知が出て、そこで予約をするんですよ。で、多くなったら抽選になるんです。

ー全員は買えないんですね…。

劔:そうなんです。ボクは「やっぱりフットスケープだな」と思って。万を持して貯めたお金を持って行って、抽選券もらって。そしたら勝てたような気がスゴいして来て。

高:アハハハハー。

劔:「あ、オレ当たったなー」みたいな。「こういう予感って当たるよなあ」みたいなのがあって「ボクは当てた!」と思ったんですよ。ま、ぜんぜんハズれてたんですけどね。

高:ンハハハハー。

劔:で、これ何の話でしたっけ。あ、まあだから二次まで行ったら受かると思いますよね。

ーフットスケープは一次も受かってないじゃないですか(笑)。

劔:確かに一次も受からなかった…(笑)。

高:そんな競争率高いんだ。

劔:や、入ってくるのが少なくて…。や、だから二次まで行ったら勝てちゃったんじゃないかなって。

ーそれは何となく分かりますね。

劔:あれでしょ、ズラッと並べさせられて、目の前に審査員がダーッと並んでて、順番になったらワンフレーズ歌わされる…

高:そう、そうなんですよ。

劔:その時歌った曲とか憶えてます?

高:えーちょっと待って、ぜんぜん憶えてない(笑)。

劔:それはさすがに憶えてないか。

高:えーglobeとか…だった気がします。

ー「wanderin' destiny」じゃないですか?

劔:その時代ですよ! 「青い鳥」(※7)見てました?

高:見てました見てました。あの豊川悦司さん、大好きだったもん。

ーついにあの話をする日がやって来ましたね(笑)。

劔:いやー来ましたね。ボクはホントに(「青い鳥」が)好きだったんですよ。

高:夏川結衣さんも。

劔:夏川結衣さんもよかったんですけど、ボクはホントに駅長さんがカッコいいなと思って。

高:あ~。

劔:で、自分が何したかと言うと、制服のシャツの袖を一個折るっていう(笑)。

高:アハハハー。駅長さん風に。

劔:今、Youtubeとかでも検索すると出て来るんで見てもらえば分かるんですけど、一回必ず折ってるんですよ。

高:それは何でなんですかね。

劔:んー…暑いからじゃないですかね。

高:アハハハハー。

劔:僅かなこの涼しさを得るために。

ーまくる事によって男らしさもアピールというか。腕の筋肉がボコッとなって。

劔:(アルバムを指しながら)これ、駅長さんファッション。

ーこれを人知れず学校生活に取り入れて(笑)。

劔:そうなんです、マネしてました。

高:ヤバいなあ(笑)。

ー当時、それを指摘してくれる人は…

劔:いませんでしたね。

高:みんなそこまで細かくは見てないんだ(笑)。

劔:だってあのファッションは、すぐさま学校生活に取り入れられるファッションですよ。白シャツにズボンですから。

高:そうですよね(笑)。

劔:いやーでもホントに見てたなー。思い出しますよ。夏川結衣さんとの草原のシーンで。

ーあれは名シーンですね。

劔:(豊川悦司のモノマネで)「ボクも好きですッ」っていうね。

ーアハハハハー。

高:ちょっともう一回見てみます(笑)。ずっと何年も見てないですもん。

劔:記憶にないでしょ。で、それを見ちゃってるんですよ、永作博美さんが。あと、佐野史郎さんが怖い。

ーその時も袖折ってるんですか。

劔:や、草原のシーンはTシャツだったような気が。

ー私服ですね。

高:私服だったんだ。

ーTシャツ(の袖)は折ってないんですかね(笑)。

高:アハハハハー。

劔:TシャツはやたらVネックだったんですよ。

高:やっぱ肌見せ大事なんですね。

劔:でも(当時の新潟の高校生に)Vネックの概念ってないんですよ。

ーUネックはありましたけどね。じいさんが着るタイプの。

高:白いグンゼの(笑)。

ーVネックも新潟では抽選で売ってて、知らなかっただけもしれないですよ(笑)。

劔:でもVネックはそんなにグッと来なかったんですよ。ただ袖を折ってるのはよかったんですよ。

高:学ランのインナーもUネックですか?

劔:(丸首)Tシャツ着てた気がするけど、その時の記憶があまりないですね…。

ー劔さん、修学旅行でスゲーTシャツ着てたじゃないですか。

劔:(アルバムの写真を見せながら)これが高校創立100周年記念のTシャツを着ているわたし(笑)。

高:スゴーい。

劔:ボクらが入った時が104周年とかそんなんで、100周年グッズが売ってて。

高:え、これ買ったんですか?

劔:ボク、これ大学入ってからも着てました。

高:アハハハハー。家で着てたんですか。

劔:や、外で。これで学校通ってましたよ。



<スターっていい人なんだなー>

劔:この当時、いちばん好きだったのは誰だったんですか?

高:この頃は私、ジュディマリがいちばん好きだったんですよ。

ーこれ(文集)にも書いてましたよ。

高:あ、書いてましたか(笑)。

劔:94年でしょ。94年のJUDY AND MARYって結構早いと思いますよ。

ー「ORANGE SUNSHINE」の頃ですかね。

高:そう「ORANGE SUNSHINE」! あの頃から好きだったんですよ。

劔:JUDY AND MARYって、るろうに剣心の「そばかす」があった訳なんですけど、あれはボクが高校生の頃だから都ちゃんは中学生で。その前に「OverDrive」があった訳ですよ。

ーもうその頃はTAKUYA政権じゃないですか。

劔:もうTAKUYA政権ですね。

ーその前は恩田政権で(笑)。

劔:そうそうそう。

高:恩田政権時代も結構好きだったんですよ。パンクな感じでね。

劔:せつないんですよ~曲が。とにかくせつないんですよ。でも94年っていったら。

高:まだ小学校の5年生かなんかでJUDY AND MARYを知って。友達の影響か何かで。「うわっ!」と思って。「私、大好きだ」と思って聞き出して。それまでぜんぜんバンドとか知らなかったんですけど。で、中学でイエモンに出会って。

ー劔さんの恋敵ですね(笑)。

劔:ワハハハハー!

高:そうですよね(笑)。眞鍋さんのあのブログ読んですごい共感しました。「すっごい分かる」って。

劔:え、ホントに。そういう経験あります? こんな若い頃から。(突然に)男性とかはどういう人が好きだったんですか?

高:この頃は吉井(和哉)さんとか、あと柏原崇さん好きでした。

劔:あーそういう世代なんだ。

高:ああいう王道のみんながカッコいいっていうような男前が好きだったんですよ。

劔:柏原譲さんじゃないですよね、フィッシュマンズの。

高:アハハハハー。俳優さんの方だと思います。

劔:吉井さんとかって若い女の子から見てもカッコよかったんですかね。

高:みんなはGLAY好きだったんですよ。

劔:GLAYが20万枚、や、20万枚じゃないな、200万枚アルバム売ってた頃ですね。

ーこの間コンプガチャの件で怒ってた人がいるグループですよね。

劔:TERUさんね(笑)。怒ってましたねー。

ー大阪にはいないですよね、あんな男前は。

高:いない! あんな人いないし、生野区にはいなかったし(笑)。

ー生野区には失礼ですけど、いないですよ。

高:みんな学校帰りとかに誰かの家に集まってCDを聞くんですけど。みんなGLAYばっかりで。あとラルクとか。

劔:GLAYだと誰ですか?

高:JIROさんとかHISASHIさんとか。

劔:でもその人たちに会えたりしたでしょ。

高:友達が友達で会えたりした時は「うわっ」て。「中学校から好きだった人と会ってる」みたいな。

劔:そうでしょう。「あれ、この人にホントに会えてるんだな…」って思った人っています?

高:あ、それこそJIROさんとかは「いっしょにご飯食べてる…」みたいな感じとか。

ーボクも大阪でハチミツ二郎さんに会った時は「わ、二郎さんだ」と思いましたよ。

一同:爆笑。

劔:あとは坂上さんに会うだけですね、ってもう会えないんですけどね…(しんみり)。JIROさんはやっぱカッコよかったですか。

高:カッコよかったですよ。しかもスゴくいい人だったから「うわースターっていい人なんだなあ」って。あと吉井さんも一度お会いした事があるんですけど、いい人でしたよ。

ー客観的に見て(吉井さんと劔さんのカッコよさ)どうですか? もう無理ですか?

高:や、でも………。ホントに眞鍋さんが好きなんですか? 優香ちゃんとどっちが好きなんですか?

劔:だからそれみんな言うんですけど…ただ男性は昔好きだった人の事はいつまでも好きなんですよね。で、ふとした時に思い出すみたいな。そういう感覚だと思うんですよ。ボクとしては昔好きだった眞鍋かをりを騒動があってどうなるんだろうなって思ってたところに不死鳥のように復活した姿を見てやっぱりグッとこう来た訳ですよ。

ー男性は「別名で保存」っていいますよね。女性は「上書き保存」でファイルが1個しかなくて。

高:常にアップデイトして。

劔:ボクのハードディスクはそろそろパンパンです。

高:たまに整理した方がいいんじゃないですか(笑)。

劔:そうなんですよ、誰か捨てないといけないですねー。

高:捨てるとしたら誰ですか?

劔:うわっ! ………(しばらく沈黙)。や、結構捨てて来ましたよ。

高:捨てないと、また新しいのが入らない(笑)。

劔:まあでも今のところ、新しいのを入れる予定がないので。

ー(ハードディスク容量)2ギガぐらいしかないですもんね。

高:アハハハハー。

劔:ずいぶん昔のハードディスクなんですね。ちょっと少ないんですよ(笑)。

高:すぐパンパンになっちゃう。

劔:外付けを用意しないと(笑)。

<PART2につづく>



構成:中内龍(恋愛研究会。/JUNGLE秋葉原)
取材協力:竹下泰幸(甘噛み)

【脚注】
※1:10万円のアンプ=アンペグSVT-2proと810Eキャビネットの事。ヤフオクで10万円で購入。現在は杉作J太郎局長による「不敗」のサインが入りさらにグッと男気が増している。あら恋のライブで確認しよう。
※2:タケオさん=パーフェクトミュージックが誇る赤鬼青鬼の赤鬼(青鬼はアシュラ)。幼少の頃より相撲で活躍、おおいに期待されるも中学の頃に社会人との稽古中に腰を故障し角界入りを断念。すれ違う人間をすべて「殺せるか殺せないか」の二択で判別するという帰還兵のようなサイコぶりとスニーカーをこよなく愛する二面性がチャームポイント。ちなみに相撲の全国大会団体戦で栃の若率いる報徳学園(その大会優勝校)と対戦経験あり。
※3:最終的に西成に住んでましたけどね=大学進学後、大阪を転々とした劔が上京直前に住んでいたのは飛田新地のすぐそばのコクのある物件。ビルの1Fは夜中までやってるアダルトショップ。やけに拘束具が充実していたような気がする。
※4:宅麻伸=ドラマ版島耕作でもおなじみの元祖二枚目。男前過ぎてきっと何かあるんじゃないかと勘ぐってしまうほどの昭和の男前。今年2月に賀来千賀子と結婚18年目にして離婚(仲人は中畑清)。何があったか知る由もないが美男美女カップルの離婚はいつの時代も寂しい。
※5:高校生のブルース=EYESCREAM BLOGで一部好評連載中な劔画伯によるビタースウィートなハードボイルド漫画。3ヶ月ほどの休載を経てこのたび復活。ジョニオさんをはじめとした一部の好事家が再開を喜んでいるとかいないとか。
※6:たいへんな事になっちゃった彼ら=野球部のカメちゃんが起こしたこの大事件は森下さんのPART2を参照。
※7:青い鳥=1997年秋にTBSで放送された豊川悦司、夏川結衣主演によるドラマ。劔はFさんと下校途中にこのドラマのシーンを再現する遊びをやった事もあるらしく、いつか本人からこのエピソードが熱く語られる事と思われる。後半の娘役を演じる山田麻衣子がとにかく可愛いのも見どころ。

今回のゲスト:高山都さん

「mina」、「non-no」などファッション誌のビューティーモデルとして活躍。 ドラマ「ROOKIES」、「ガリレオ」や映画「容疑者xの献身」に出演など女優としても活動。 また、1年間で120本以上もライブを見に行く音楽好きでありその知識を活かし、現在東京FM「RADIO DRAGON」のパーソナリティーとして活躍中。11月24日から公開『女子カメラ』にも出演。

つづく

プロフィール

劔樹人
神聖かまってちゃん&撃鉄のマネージャーにしてあらかじめ決められた恋人たちへのベーシスト。株式会社恋愛研究会代表取締役でもある。最近はKARAに夢中。
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