ザンジバル | ロックンロールニュース

かせきさいだぁ
作詞家／ラッパー／ヒネモシスト／漫画家
誰にも頼まれずに執筆を続ける脱力系4コマ漫画「ハグトン」。
ハグトンの好物はカフェラテ（最近はソイラテ）だそう。

毎年恒例となった『ザンジバルナイト in 野音2012』、
今年でなんと5回目となりました。
今回もザンジバルナイトでしかありえない組み合わせの出演者とともに、日比谷野外大音楽堂から音楽と過ごす素敵で濃密な時間をお届けすることが出来ました。
お越しいただいた方は当日を振り返りながら、足を運ぶことが出来なかった方は想像を膨らませて頂き、是非お楽しみください。

開幕を宣言したのは5年連続の総合司会をつとめ、イベントのシンボル、アイコンとなっているご存知ゾノネムです。
今回はグレートO不参加にも関わらず、もはや貫禄すら感じさせる下ネタラップで堂々のステージング。お決まりのややうけコールアンドレスポンスで客を煽ったり、逆に煽られたりしながら、このイベントがただのフェスではないことを改めてみんなに思い出させて、『ザンジバルナイトin野音2012』スタートです。

トップバッターはキノコホテル。
ムチを振り回し、見るからにドSのマリアンヌ東雲様が登場すると、会場も緊張感に包まれ一気にキノコホテルの世界に引き込まれてゆきます。
昭和歌謡とガレージロックの濃い部分を抽出し、たっぷりファズを効かせた電気ギターサウンドと、タフなドラム、ベースのリズム隊、そして演奏もドSなマリアンヌが奏でる電気オルガンのメロディと睨みを効かせて歌い上げるボーカルで、息つく暇も無いまま激しくそして魅惑的なステージが繰り広げられます。終盤ではマリアンヌ様が鍵盤に登り客をあおり、いろんな意味で大サービスのステージとなりました。

いきなり変な気持ちになってしまった男性客の前に、平然と登場したのは皆勤賞のウクレレえいじ、本人は「笑うのは関根勤さんだけ」と謙遜しつつも、もはや完全に市民権を得ている鉄板のマニアックものまねを繰り出し、笑いで会場を1つに。西岡徳馬、舞の海、渡辺篤史、佐野元春…と定番から新ネタまで惜しみなく披露し、次のアーティティストにバトンを渡して行きます。

次に登場したのは後藤まりこ。
登場からエフェクター、サンプラーを使い、自らの声を自在に操り、幻想的なライブがスタート。周りを固めるバンドメンバーが彼女を囲むように大きなステージ上にコンパクトにまとまり、絶妙な間合いで緊張感を保つ中、後藤まりこ本人はいたって自由に跳ね回り、甘く、時に激しくと、表情豊かに歌い上げ、その緩急で観客を完全に魅了してゆきます。
途中で起こった機材トラブルも余裕のアドリブでこなし、昨年末結成したバンドというのが信じられない程、ピタリと合った呼吸で演奏を続けてゆきます。終盤には自分の背丈以上もあるモニターから飛び降り、全力でザンジバルナイトを盛り上げて頂きました。

そして圧巻だったのは氣志團のステージです。
この時間帯での登場に会場がどよめき、ザンジバルの為に用意されたオープニングナレーションから高らかなトランペットで幕を開ける新曲『日本人』の演奏がはじまると興奮を隠せず会場全てが最高潮へ。フェス形式という短い時間にも関わらず、微熱DANJIらバックダンサーを交え、衣装替え有り、身長までも自在に操る濃密なエンターテイメントは本当に素晴らしく、日本最高峰の実力をまざまざと見せつけました。自虐的なMCで会場の笑いを取りつつも演奏された『One Night Carnival』の盛り上がりは間違いなくこの日のハイライトとなりました。

続いて登場のマキタスポーツはバンド編成のマキタ学級で臨んで頂き、お笑いだけでは括れない程、的を得ているシニカルなネタ(曲?)に、初めて観る音楽ファンのお客様も完全に引き込まれていました。
タイトルでわかる『15の夜音頭』、ビジュアル系を解体した『お母さん』、TVでは放送出来ないという『ハミングソング』、ヒットの要素を過剰に詰め込んだ『10年目のプロポーズ』と、たくさん笑って同時に深く関心してしまうというマキタスポーツでしか体験出来ないステージとなりました。

日も完全に落ちて、登場したのはフジファブリック。
昨年から今年と本当に大活躍したバンドがザンジバルナイトに登場とあって、会場の期待も否応なく高まります。 1曲目の『TAIFU』から力のある演奏で熱狂に包み込み、立て続けに『夜明けのBEAT』で完全に会場を支配してしまいました。迫力ある演奏と対照的におっとりとしたMCでさらに客席の心を掴み、新曲である『徒然モノクローム』を披露してくれるサービスにはフジファブリック目当てのファンも驚き、フジファブリックの魅力が凝縮された大満足のステージとなりました。

今年のザンジバルナイトもいよいよ終盤というところで毎回欠かせない猫ひろしがJリーグのテーマにのせて登場。例年に以上に注目度が高まる中、ハイテンションで期待に答えます。流れるような連発ギャグはさらにキレを増し、恒例のパンツ投げで会場を大いに沸かせて頂きました。

その後、リリー・フランキーがゾノネムと共に本日ステージに初登場。
ゾノネムに呼び込みを促し、発売されたばかりのNEW ALBUM『Grinding Sound』を引っさげ本日のトリTOKYO No.1 SOUL SETの登場です。
おなじみとなった『Hey Hey SPIDER』で勢い良く登場すると、2曲目には早速新曲『Runaway』を披露し、会場を盛り上げます。 3曲目には何とEGO-WRAPPIN'から中納良枝が登場し共演曲『みずいろの雨』へ、これには会場も大歓声で答え野音の夜が熱を帯びてゆきます。その後も『Innocent Love』、『知らない夢』と新旧織り交ぜ演奏し、最後にはイベントにぴったりの『Sunday』で『ザザンジバルナイトin野音2012』を締めくくりました。